◇ p.17 ◇ ページ18
「違う… 違うよ…」
二宮の胸を押して中野は首を横に振った
太郎は傘を差したまま
呆れたように笑って中野の前まで歩いてくる
太郎『じゃあ、また生徒会で』
「ちょ‥ちょっと」
そのまま通り過ぎようとした太郎が
一度足を止めて二人を振り返った
太郎『兄貴、先帰ってご飯、作っとくね』
「え‥？あ、ちょっと太郎くん！ホントに違うからっ…て」
去っていく太郎の背中から目を逸らし
二宮は中野の家を見上げた
『ほら。行けよ』
「‥ 謝って」
『‥なにを？』
「謝って！」
『だから‥』
「言わなくてもわかるでしょっ？サイアクだよ‥もう終わりだ‥」
『やっぱ好きだったんだ』
「…」
黙って二宮を睨みつける中野
『ねえ。早く入ってくんないと俺帰れないんだけど』
「なんであんなことしたの？」
『帰るね』
「答えてよ」
『はぁ…』
面倒くさそうな顔で二宮が中野を見る
中野は依然二宮を見上げ続けていた
『…ただの気まぐれ』
一言呟いて
二宮は止まったままの中野の手に傘を握らせると雨の中を歩き出した
「……サイッテーだよ！あんたやっぱサイテー！‥何よ‥こんな！」
渡された傘を二宮の足元へと投げつけ
中野はそのまま走って家の中に消えて行った
『…』
二宮は地面に転げ落ちた傘を少し屈んで拾い上げると
アスファルトの歩道にため息を吐いた
―――ありがとう。ホントに優しい子ね？
短い腕を命一杯上に伸ばし、黄色い傘を差して歩く幼い自分の姿が見えた
母が腰を屈めて隣を歩く
水溜りに入ろうとする太郎の手を掴み、３人一つの傘の下‥
その後ろ姿をぼんやりと見つめた
いつかの景色
いつかの
いつかの…
目を閉じて、それからもう一度開く
見上げた空は鼠色に淀んでいた
＊―＊―＊―＊…
「ただいま…」
力無くリビングのドアを開けた中野は
テレビ前のソファーに姉の姿を見つけた
「…お姉ちゃん？」
姉はぼんやりとテレビ画面を見つめていた
だがよく見ると、テレビは付いていない
「…なんか‥あった、の？」
―――俺らより先に帰ったのに、今頃お帰りだと。
二宮の言葉が頭を過る
ソファーの前に回ると
ようやくこっちを見た姉が生気のない顔で笑った
姉「私‥あの子になんか、気に触るようなこと言ったみたい」
「え？」
姉「変わった子ね。太郎くんて…。気になってる子って‥あの子？」
「…」
姉「…そっか。ううん‥いいの」
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海月（みつき）(プロフ) - 大宮ＳＫLOVEさん» はじめまして。ありがとうございます。不定期更新ですがゆっくりとお付き合いいただけたら幸いです。 (2013年6月19日 22時) (
レス) id: a2a840ef32 (このIDを非表示/違反報告)
海月（みつき）(プロフ) - さっつんさん» わあ‥久しぶり！受験生お疲れ様でした。相変わらずののろのろ更新ですが、これからもよろしくお願いします♪兄宮さん気に入ってもらえて嬉しいわ！ (2013年6月19日 22時) (レス) id: a2a840ef32 (このIDを非表示/違反報告)
さっつん(プロフ) - お久しぶりです!受験生だったので久々に見に来ました笑も、兄宮さんみたいなタイプ超大好きなんです！話も更新されてて今年1番テンション上がりました（笑）更新頑張って下さい!笑 (2013年4月8日 8時) (レス) id: b6c15c66d4 (このIDを非表示/違反報告)
海月（みつき）(プロフ) - きなこさん» わあ‥良かったです、一応兄宮の方が主役ですからね。これからもよろしくお願いします！ (2013年4月4日 12時) (レス) id: a2a840ef32 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 太郎くんも可愛いけど、わたくしはﾑｯﾂﾘ宮のほうが好みだぁぁ(●´mn｀) (2013年3月31日 14時) (携帯から) (レス) id: ff37a7675f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月（みつき） | 作成日時：2012年9月5日 22時
