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私のやりたいこと 2 ページ35

2人の様子を見るに、行ってほしいのかもしれない。

岡崎社長も興味のあることをしてみればいいと言っていた。

私の興味のあること。

…勉強したいこと。

『…私のやりたいことをやっても良いの?』

「当たり前じゃん!Aの人生だよ、決めるのはオレたちじゃなくてAでしょ?」

私の問いに食い気味に答えた兄ちゃん。

私がやりたいこと、か。
…うん、今かもしれない。

『…それなら、学校はいいや。行かないよ。』

「…本当にいいの?」

千さんの目に不安が翳る。

『うん、いいの。今はそれがやりたいことじゃないから。』

頑張ってる2人みたいに、私ももう一度頑張ってみたい。

真っ直ぐに目を見て、胸に留めていた言葉を紡いだ。

『私ね、もう一回歌いたい。ゼロからちゃんと音楽がしたい。』

「…!!」

千さんの目が見開かれた。
驚きの中に少しの興奮が混じってるように見える。

兄ちゃんも千さんを横目で見てから、嬉しそうに笑った。

「…それが、Aのしたいこと?」

『うん。…一番。』

「…そっか、分かった!兄ちゃん、Aのやりたいことに賛成!!」

「僕も。…やっとやりたいって言ってくれた。」

嬉しそうに微笑む千さんにつられて3人で笑い合う。

…正直、兄ちゃんには反対されると思ってた。

業界の厳しさも怖さも、兄ちゃんは多分、よく知ってるから。
黒瀬事務所のこともある、私自身の問題も。

でも、立ち止まったままではダメだ。
守られるだけは嫌だ。

この選択が、どんな結果になっていくのかはまだ分からない。
2人にもっと迷惑をかけてしまう可能性も十分にある。

それでもいつかは戦わないといけない日が絶対に来る。
そのために、前に進んでいかなくてはならない。

その時は、私が2人を守るんだ。

「よし!Aのこれからのことも決まったとこで、事務所の話をしよう。」

『…事務所?』

「そう、Aを守ってくれる場所。フリーでも活動は出来るけど、Aは危ない。ちゃんとした所を探す。」

兄ちゃんの言ってることの意味は理解できる。

それでも、少し怖かった。

「ちゃんとAのことを見てくれる場所を探す。大丈夫だよ、嫌な所には行かせない。」

真剣な目で話す兄ちゃんの言葉に頷く。

「いくつか候補は絞ってるけど、もう少し中の様子を探ってみる。決める時は3人で決めよう。…それから、」

ふっ、と兄ちゃんの目が緩んで伸びてきた手が頭を撫でた。

約束→←私のやりたいこと



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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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