好奇心 2 【千side】 ページ18
「いいよ。行こう。」
パソコンを閉じて、ギターを閉まって立ち上がるとAも本を入れた袋を持って立ち上がった。
僕の肩にも届かない身長のA。
無意識に手が伸びて、頭を撫でる。
『ん?……えへへ、』
不思議そうに僕を見上げた後、照れながらも嬉しそうに笑うA。
「…行こっか、」
まだ撫でてたいけど、セール品が売り切れてしまえば今日の晩御飯が無くなる。
2人で家を出て、夕日が照らす歩道を歩く。
……モモは、今日も飲み会か。
―――――
【Aside】
「やぁ、おはようA。今日も読書かな?子どもは子どもらしく公園で遊んで来たらどうだ?」
『世の中の子ども全員が活発だと思わない方が良いですよ?それと、もう夕方です。』
「ははっ、本当だね」と笑う岡崎社長を見てから再び手元に視線を戻す。
ブラインドの隙間から明るい夕日が差し込んでいる岡崎事務所の社長室。
今この空間には私と岡崎社長だけ。
用事が無い限り他の社員さんも入って来ないし、静かだし読書にはもってこいの場所。
本来は事務所の隅っこにでも居させてもらえたら良かったのだけれど、小さな事務所のせいかバタバタと忙しそうでどこにいても私は邪魔になってしまう。
結果として社長室の来客用のソファに座ってただただ読書をする時間が続いている。
もちろん来客時は退散するけど。
岡崎社長はよく私に話しかけてくる。
今日の出来事や岡崎さんにあれこれ言われたことや会うたびに千さんに睨まれることや…。
社長って怖くてお堅い人たちばかりと思っていたから初めて話したときは驚いた。
「今日はどんな本を読んでいるんだ?」
自分の椅子に座りもせずに、私の向かい側のソファに腰を下ろしながら積んである本を1冊手に取る。
仕事しなくていいの…?
「…ふむ。"色彩心理学とビジネスの関係性について"……。ずいぶんと専門的な本だな?」
読むことを諦めたのかパタンと閉じた本を置くと考えるように腕を組んだ。
「Aの興味は幅広いな。この前は宇宙の謎や動物の生態について書かれた本を読んでいただろう…?」
『興味というか…。読んでいて損は無いでしょう?』
「そうだが…、どうせ読むなら興味のあることがいいんじゃないのか?自分の好きなこと、やりたいことを深めていけばいい。それと、本だけでは学べないこともたくさんある。」
私の好きなこと、興味があること。
頭の中にいつかの千さんの顔が浮かぶ。
"「…A、曲作ってみなよ。」"
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時