好き嫌い 【百side】 ページ45
仕事とバイトとレッスンの合間にAに会いに行く日々が始まってしばらくが経った。
今日はユキさんと一緒に差し入れをもってAの病室に行く。
忙しかったり、時間が合わなかったりで2人で行くのはちょっと久しぶり。
「A〜!来たよ!ユキも一緒!!」
ドアを開けて一番に言う。
パッとこちらを見たAはオレと目が合うと途端に嬉しそうに笑った。
【ん"ん"ん"ん"ん"かわっ//////】
ガッシと見えない手が心臓を掴んでるよ今。
「来たよ。…あれ?今日は矢島さんじゃないのね。」
心の中で悶えるオレの横でユキさんが不思議そうに言った。
本当だ。
今日はAの横にはあの怖そうな看護師さんが座っていた。
なんか話してた風だし、Aも平気そうだし、仲良くなったのかな?
「あら、いらっしゃい。ちょうどアナタ達の話をしてたところよ。じゃあアタシは仕事に戻るわね!」
そういってツカツカと怖そうな看護師さんは出ていく。
ちょっと機嫌が良さそう。
「仲良くなったの?」
もう一つ椅子を出しながら聞くと、Aは小さく笑って頷いた。
紙に{矢島さんがお休みの時、面倒見てくれる。}と書かれる。
Aはまだ話せない。
以前より元気になったし、表情も増えたけど、声までは出ていない。
{いっぱいお話してくれる。楽しい。}
続いて書かれた言葉に頬が緩む。
「そっか!良かったね!」と言いながら頭を撫でる。
後でお礼言っておこうかな、そういえば名前も見てないや。
ついでに矢島さんに説教し過ぎないようにお願いしとこう。
{矢島さんのこと怒りすぎないで、って言ったら愛のムチだからって。}
あ、もう言ってたんだ。
…愛のムチ。(子ども相手に…)
……あの死ぬほど長い説教って本当に愛なの…?
{愛のムチって?}
「あー…っとね、」
「大好きってことだよ、矢島さんのことが。」
どう答えればいいか悩んでいると、紙に書かれたことを見たユキさんが答える。
いやでもその答えって、ちょっと誤解生まない!?大丈夫かな…?
まぁ、Aもなんか納得してるし…いっか。
そんなユキさんはサイドテーブルでごそごそしてる。
その様子をAはちょっとワクワクしながら見てる。
最近、小さいけど表情の変化が多くなった。
同年代の子どもと同じ表情をするようにはなったかな?
こっそり喜んでからユキさんに視線を移す。
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どこかの旅人 - ここまで惹き込まれたのは初めてです。更新楽しみにしてますね (2020年2月29日 2時) (レス) id: 9544a2fe14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年2月2日 17時