【アイナナ】短編集 (ページ3)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:41,833 hit

千　【攻防戦】ページ3

「はぁ～……」

『ぅわ！』

溜め息を吐きながらAを背後から抱きしめると驚かれた。

【……一緒に住んでるのに、そんなに驚くこと…？】

とか考えたけど、そんなこと別にどうでもよくなって、Aの肩口に顔を埋める。

『…千？どうしたの？』

心配そうなAの声。

「んん～………疲れた。」

『ふふ、そっか。うん、お疲れ様。』

Aは笑って僕の頭を撫でる。

……すごく、落ち着く。

あったかいし、いい匂いだし、柔らかいし。

……もっと抱きしめ心地がいい方が良いけど。

「……A、もうちょっと太ったら？」

『………何を考えて、それ言ったの？』

「え？だから、むｎ、ひたた！」

答えようとしたのにほっぺたをつねられた。

さっきまで笑ってたのに、今はそっぽを向いてむくれてる。

…ほんと、可愛いな。

「…気にしてるんだ？」

肩越しにAの顔を覗き込むように言うと、睨まれた。

『千のデリカシーの無い言動に怒ってるんだけど？』

……睨んだ顔も可愛いな。

「ははっ、ごめんごめん。」

『…全然反省が感じられないです。』

「反省してるって、」

ギュッと回す腕に力を入れる。

「…ね、気にしてるのなら、僕が大きくしてあげようか？」

『へ？なんで千が？』

「胸って、揉んだら大きくなるらしいよ？…試してみる？」

『っ～！！試さない！！』

「え～なんで？」

真っ赤になって怒るAが可愛くてつい、からかいたくなる。

そーっと胸に手を伸ばすと、すぐに気付いたAの腕が僕の腕を掴む。

反対の手も阻止される。

短い時間の攻防戦を制したのは、僕。

…まぁ、負ける気なんて無かったけど。

絡み合うように押し倒して、キスをする。

しばらくして離れると、肩を大きく上下させながら瞳を潤ませているAが腕の中に居た。

…本当、Aは僕を本気にさせるのが上手い。

本人は気付いてないけど。

「…今夜、寝させないけど、覚悟して。」