楽 【寝癖】 ページ4
「……う、まぶし……」
目を覚ますとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
まだ眠気が強く、起き上がって閉めに行く気にはならなかったのでそのまま光に背を向ける。
隣に寝ているAと向き合う形になる。
【…ふ、かわい。】
もう何度見たかも分からないAの寝顔は、何度見ても愛しくて可愛い。
頬を撫でて額に軽くキスをする。
優しく抱きしめて腕に閉じ込めると、腕の中でAが身動ぎした。
『……ん………?…………がく……?』
眠たげな声で俺の名を呼ぶ。
「悪い、起こしたか?」
『…ううん、……あさ?』
「まだ早いから、もうちょっと寝てろ?」
『ん……』
眠たそうなAは目を閉じるとすぐに小さな寝息を立て始める。
それを見て、俺も心地良い眠気に微睡む。
どれくらいそうしていただろう。
頬に何か触れる感覚がして、微睡みから目を覚ます。
『…あ、おはよ、楽。』
腕の中で、俺の頬を撫でながらAが微笑む。
「……おはよ、A。」
ぎゅーっと抱きしめるとAも笑いながら抱きしめ返してくれる。
「…ずっとこのままがいい。」
『あはは、ダメだよ、この後仕事でしょ?』
「んー……仕事……」
仕事を投げ出す気は無いけど、今はAとの離れがたさが勝っている。
『ほら、起きて!ファンがかっこいい八乙女楽を待ってるよ?』
「……今の俺はかっこよくないのか?」
『ふふ、寝癖ついてるけどかっこいいよ。』
「…それ、かっこいいっていうのか?」
Aは笑いながら寝癖ついててもかっこいい、とか言う。
『ここにいるのは私しか知らない八乙女楽、だからね。』
楽しそうに、でも嬉しそうにそう言う。
「…なら、ここにいるのも俺しか知らないA、だな。」
今度は真っ赤になる。
…さっき自分で言ったことなのに、そんな照れるか?
あ。
「…変なこと、想像した?」
『しっ、知らない!!』
あからさまな反応に思わず笑ってしまう。
本当に、表情がコロコロ変わって可愛い。
今、Aが俺の隣にいることがたまらなく幸せだ。
「…今日、帰ってからまた、な。」
耳元でそう囁くと真っ赤な顔で怒られた。
それがまた可愛くて小さく笑う。
いつもの幸せな朝の時間。
…今日は出来るだけ早く帰って来よう。
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ぷる - え!?なんなんですか!?(訳 最高です!もうみんな好き…テルさん愛してる… (2020年4月16日 16時) (レス) id: ee7856aff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年1月25日 17時