君がNo.1【うらたぬき】 (ページ13)

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You side＿＿＿＿

『何があったのか分かりませんが、大丈夫ですよ。』

と言ったのだが、
その声に抱擁が解かれる。

「それ。必要ないよ。」

と何も無かったかのような顔をして言われる。
少し恥ずかしくなったが、ウラタさんの指す“それ”が分からないので疑問を投げる。

『それ、って何ですか…？』

「その、んー。話し方？硬い感じの。」

『敬語ですか？』

「そそ。それ。要らない。普通に話して、笑顔を見せて欲しいな。」

と寂しそうな顔で笑うウラタさん。
見返りの量が多い気がするが気の所為だと言い聞かせる。

『ウラタさんがいいなら良いですが…。』

「いいよ。今からその“けいご”無しね。」

と言ってﾊﾟﾝｯと手を叩くウラタさん。

少し向かい合って無言になる。

転ける前にしようとしていた水を飲もうとコップを取り出しに行く。

ウラタさんが声をかけてくる。

「さっき、」

『はい？』

「転ける前。何しようとしてたの？」

『あぁ、少しお湯に浸かりすぎたのでフラフラしてたんですよ。お水飲もうとしてました。』

「ふーん。“けいご”。」

『あっ…ごめん。』

無くしてと言われてすぐ無くせる訳がない。
意識的に敬語を外すように心掛けよう。
そのうち無意識に敬語が外れた言葉が出ることを願おう。

◆◆◆

題名…「見返り」