【ヒプマイ・男主】俺の隣の奴は今日も笑顔を振り撒いている

俺の隣3*独歩side* ページ4

くしゃっと俺の頭を撫でたA。
去り際にそういうことするなよ。


「…」


女子社員と並んで行くAの後ろ姿を見つめる。
Aを見る女子社員の目には明らかな好意。
それに気付かず、Aは笑顔を向けている。

さっきも、Aが手を振ったとき嬉しそうに返していた。
それを見てモヤモヤというか、何か引っかかるものを感じて。
自分でも眉間に皺が寄っているのがわかった。


「はぁぁぁあ」


俺きも…。
こんなんまるで…


Aのことが好きみたいじゃないか。


いやいやいや、ないないない。
俺男、あいつも男だぞ、ないない。


「…っ」


付き合うのを承諾したのも、キスも、ただ場の空気にやられただけだ。
…そうに決まってる。決まってるんだ。


「観音坂君、この資料今日中に直しておいてくれ」


「っあ、はい…」


ぼーっとしていた俺に声を掛けてきたのは課長。
目の前にはどさっと置かれた資料の山。
あのハゲクソジジイが…！！！
仕事増やしやがった。


「はぁ…」


また残業かよ。
終電の常連になるわ。
あ、すでになってる。

再度ため息をつこうとすれば


"観音坂、ため息ばっかついてると俺がお前を幸せにしなきゃいけないだろ〜"


ってAに言われたことを思い出した。
今思い返すと何言ってんだって感じだな。


"俺はそれでも全然良いんだけどな！むしろ歓迎！"


いや、ほんとに何言ってんだって感じだな。

…やばいさっきからAのことしか考えてない。
やめだ、やめやめ。

思考を中断させてデスクトップに集中する。
仕事していれば、Aのことなんて考えずに済むんだから。

俺の隣4→←俺の隣2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す