―プロローグ―*独歩side* ページ1
『よし、俺ら付き合おう』
「どうしてそうなったのかわからん」
キーボードを打ち込む音が止み、突然思い出したように声を上げたと思ったら…。
こいつはついに頭が可笑しくなったらしい。
残業続きだもんな、現在進行形で。
『観音坂、俺のこと嫌いか？』
「…いや、嫌いではないけど」
俺の顔を覗き込むように聞いてくるA。
こんな俺にも気遣ってくれて、仲良くしてくれて、数少ない友達だ。
感謝はしている。
でもそれとこれとは違うだろ。
俺男、お前も男、わかってるのか？
『じゃあいいじゃねぇか』
"いや、良くねぇよ"
って言おうとしたら唇に柔らかい感触。
そしてドアップのAの顔。
間近で見てもわかる整った顔立ちは女子社員がキャーキャー言うのも頷ける。
まぁ、要するにイケメンってやつだ。
そう言えば、男の社員もキャーキャーしてるのを見たことがある。
あれ、この職場結構やばいのか？
『観音坂？おーい』
目の前で掌を振られ、はっとする。
思った以上に受け入れてたよ怖いわ。
「…シネ」
『って言う割には、そんな顔してないけど』
するっと頬を撫でられて、不本意にも体がびくっと震える。
やめろやめろ、頼むからやめてくれ。
『なぁ、嫌じゃなかった？』
嫌じゃなかったから困ってるんだよ。
俺もどうすればいいかわかってないんだ。
『…もう一回、させて』
「な、何言って…」
『これで嫌じゃなかったら付き合って』
迫ってくるAの顔。
するっと自然に絡められた指。
ばくばくと心臓が激しく脈打つ。
心臓うるさい、黙れ、殺すぞ。
「〜っ」
触れた唇。
さっきよりも長い。
唇が離されて、目が合う。
「…ッ」
待て待て待て、俺は今なんて思った。
笑えん、非常に笑えん。
『な、どうだった…？嫌？』
ちょっと自信なさげに言うのやめろよ、さっきの態度どこ行ったんだよ。
嫌じゃなかったよ、むしろ、むしろ俺は…。
「足らない…」
そう、思った。
『…は？』
「え」
目の前には頬を赤く染めたA。
…待て待て待て、いや、待て待て待て。
嘘だろ、おい、まじかよ俺。
今すぐに眠りにつきたい、頼む。
『…観音坂』
「な、んだよ…」
『付き合おう』
真剣な顔。
ぎゅっと強く手を握られた。
心做しか震えているような気がした。
「…わかった」
もうどうにでもなれ。
嬉しそうに笑ったA。
近付いてくる顔。
これも残業のせいだ。
そう思いながら、俺は目を閉じた。
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七海(プロフ) - りぃさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！そう言って貰えると作品を作って良かったなぁと思います。更新が滞ってしまい申し訳ございませんが、遅くても更新はしていきますので何卒、よろしくお願い致します！ (2019年4月2日 0時) (
レス) id: 04e298f72c (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 素晴らしい作品に出会ってしまった… いや、もう本当に最高です！え？何なんですか？萌えに悶えましたよ(語彙力)本当にありがとうございます(土下座)推しが尊い…好き、、続きが楽しみです 更新頑張って下さい！！ (2019年3月30日 6時) (レス) id: 649b8a9daf (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - たかのりさん» わー！嬉しいです！こちらこそ読んで下さりありがとうございます！修羅場に…なりますかね…ﾆﾔﾘ。更新不定期で申し訳ございませんがこれからもどうぞよろしくお願い致します！ (2018年10月28日 0時) (レス) id: 04e298f72c (このIDを非表示/違反報告)
たかのり(プロフ) - 男主×独歩めちゃくちゃ好きですありがとうございます！！帝統も出てきて、大好きな修羅場になりそうで続きがとても楽しみです！応援してます！ (2018年10月25日 4時) (レス) id: e7418c529b (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 咲良さん» コメントありがとうございます！そう言って頂きとても嬉しいです^^更新不定期で申し訳ございませんが、これからもよろしくお願い致します！ (2018年10月23日 15時) (レス) id: 04e298f72c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七海 | 作成日時：2018年7月11日 14時
