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汐音が1歳になる日。
長い長い夢から覚めて約1年。
Aと話して1歳でも食べられるケーキを冷蔵庫へ隠した。
クラッカーも用意した。
あっちの世界と違うのは、汐音の誕生日をちゃんと喜べるところ。
あっちでは、Aの命日ともなったこの日。
「しぃ、パパ呼んできて！」
「んーう」
玄関からよちよち歩きの汐音がやって来て、俺の足にしがみついた。
「ぱ…ぁぱ」
智「へぇへぇ」
汐音を抱き上げ、玄関で靴を履かせた後、3人でタクシーに乗り込んだ。
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早めに仕事を切り上げて家に帰ると、Aと汐音が出かける準備をしていた。
海を汐音に見せてあげたいんだと。
俺らも行ったよな、しぃ。
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屋内墓苑の近くに広がる海。
でっかい夕日が向こう側に吸い込まれていく。
砂浜と海水の際まで近づくと、汐音はビクッとして俺の足の後ろへ隠れた。
「しぃ、ほら、お水チャプチャプ」
「んー！んまっ」
ゆっくりAに近づく。
濡れた砂の上に小さなケツをつけた。
今回はAの鞄の中にタオルを準備している。
いくら遊んで泥だらけになってもいいように。
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こちらへ迫りくる波にすぐ慣れた。
キャハハとバシャバシャしながら遊ぶ。
そんな汐音を見守りながら、大好きな夕方の海を眺めるA。
「しぃちゃんあのね、しぃの名前の由来はこの景色なんだよ」
分かるわけねぇのに、あの日の俺と同じことをする。
汐音は当然聞いてないし理解もしていない。
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汐音が後ろにいる俺を見る。
「ぱぁぱ…」
「…しぃ！」
引いていく海水。
そこを指しながら自分の名前を言った。
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「っ智くん！伝わった！」
汐音に抱きつきながら「天才に育つかも！」と頭を撫でる。
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ビックリした。
なんだ…、お前覚えてたの。
分かってたの。
俺たち一緒にあっちの世界から来たのかもな。
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帰りのタクシーの中で汐音は案の定寝た。
買ったケーキもその日のうちに食べることはなかった。
「私たちもパパママになって1年だね」
智「…だな」
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前例のストーリーはここで終わってる。
この先何が待ち受けているのか分からない。
まだまだガキな部分いっぱいあるし、まだ社長業も任せてもらえないけど。
「パパ2年生も頑張ってね」
智「パパもやるけど、旦那もしたい」
汐音を寝かせて2人の時間となった。
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未熟だけど、それでも守っていくから。
父親として、旦那として、男として。
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fin.
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
