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智の気持ちに、Aの両親はうんともすんとも言わなかった。
きっと同じ気持ちだから。
大切な娘だからこそ失いたくはない。
…でも、俺たちはAがどういう人間なのか知っているから、赤ちゃんをそう簡単に見捨てることも出来ず
答えを出せないまま時間よ止まってくれと心の中で願うばかり。
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智の足取りがフラつき、近くのソファへ座り込む。
ちょうど処置室からさっきの医師が出てきて、Aの親父さんと話し始めた。
智の隣に座り、話している2人をジッと見つめる。
何を伝えているのか、どんな結果になるのか、知りたいけど知りたくない。
良い答えしか聞きたくない。
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智「…悪い夢だよな」
自分の太ももの上に肘を置き、両手で顔を包み込んでる。
和也「…そうだな」
智の腕時計から秒針の動く音が聞こえてくる。
この音が1回聞こえるに連れ、Aの体力がなくなっていってる。
魔の音楽。
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Aの両親が「お願いします」と医師に頭を下げた。
医師は再び最善を尽くすことを誓い、背を向ける。
ママさんはハンカチで顔を覆う。
親父さんがそんなママさんを抱きしめて恐怖から耐えようとする。
分娩室と今いる場所を隔てるドアが閉まる直前、「分娩準備！」と聞こえた。
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智が顔を上げる。
智「…今なんつった」
和也「…」
智「分娩って」
和也「そんなの分かんねえじゃん…、おろすことも分娩っていう可能性だって…」
智が立ち上がり、ドアの方へ向かう。
パスワードが必要なドアは俺らがどうにかして開けられる物ではない。
父「智くん何をする気だね！」
ドアをうるせえくらいら叩く。
嫌なワードが胸をざわつかせる。
分娩して赤ちゃんを生きさせるならば
Aは……………。
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智「開けろ！！！」
父「やめなさい！」
…無理だよ。
ああなった智は大の大人が数人いないと止められない。
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和也「医者に…何て伝えたんすか」
ママさんに近づく。
泣き腫らした目をチラッと覗かせ、Aの意思を尊重させたと聞いた。
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境のドアが開く。
「処置を行っているためお静かに願います！」
一人の看護師を押し退けて中に入ろうとする智。
「関係者以外立入禁止です！！」
「誰か！彼を止めて！」
智「赤ん坊なんて要らねえからAを殺すな！！」
和也「っ智！」
俺より数倍強い力はこいつを止めようとする手を簡単に薙ぎ払った。
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
