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墓を管理してる建物の近くに海があった。
汐音の歩く練習も兼ねて、海まで行く。
この季節だから誰一人いない。
波の音が優しく流れてる。
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智「もうちょい暗くなったらな」
波がこっちへ来て、あっちへ帰っていく。
初めて見る海に若干怯えながらも、自ら波に立ち向かう。
智「お前の名前の由来を見せてあげられるんだけど」
汐音「んー！あー！」
智「汐音の汐は夕方の海を表すんだと」
汐音「ｷｬﾊﾊｯ」
智「今言っても分かんねぇか」
砂の上で胡座をかき、波打ち際で遊ぶ汐音を眺める。
冷てぇのによく遊ぶよな。
ガキってすげぇな…。
海水が引いた濡れてる砂の上に座ったり膝をついたりするから服が汚くなって
遊び疲れた汐音はその場に座りこんで頭をカクカク揺らし始めた。
智「…マジか」
砂の上で寝始めた体を抱き上げ、タクシーの中を汚さないように俺の膝の上で寝かせた。
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智「しぃ、風呂」
汐音「…」
智「…」
起きない。
起きなくても勝手に洗うけどさ。
頭ガクンとなるし、支えながら洗うのが難しい。
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パジャマを着させ、眠ってる間に俺も風呂を済ませる。
せっかくケーキ買ったけど、こりゃ起きねぇな。
んで変な時間に起きんだろ。
腹減ったーって、ワンワン泣きながら起こされんだろうな。
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汐音「んぅ……」
汐音「…ん…ぱ」
たぷたぷしてる頬を指の背で撫でる。
夢の中に俺出てきてんの？
んふふ、と笑う。
俺の手と同じくらいの小さな顔。
眉毛も髪の毛もまだ薄い。
1年…育ててきたんだな。
俺だけじゃなくてあいつらも世話してくれた。
Aからの愛は直接受け取れないけど
俺と、あいつら4人でお前をちゃんと大きくするから。
父ちゃんが言ってた。
子供に愛着が湧くって。
俺はまだ自覚できねぇけど、育てないといけない責任は感じてる。
あいつが命がけで産んだから。
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これ、親孝行になってんのかな。
父ちゃんに孫の顔は見せた。
子育てできるくらい俺も大きくなったよ。
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汐音が生きてなければ今ごろお前は…って何度も考えたことがある。
でも今は、汐音も、そしてAも生きていたら、楽しいことばっかだったかも知んねぇのにな…って。
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会いたい。
この辛さはきっと失くならない。
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汐音を大きくしてそっち逝くからさ
それまで浮気すんじゃねぇぞ。
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頼むから俺だけを待ってて。
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
