後輩を育てる力 ページ27
次の日
社長の懇親会を楽しんだ同僚たちが
口々にお肉が美味しかった、
社長が自分達の意見を聞いてくれたと喜んでいて。
…そりゃ、私はあんまり高いものを奢るなんて出来ないけどさ、なんか一気に仲間を取られた気分。
むす、としながらも仕事を始めると、
いつもの調子で入ってきた雄島さんが
私のデスク周りに来て、
雄島「みんな、
昨日は参加してくれてありがとう。
また来月も楽しみにしててね。
あれ、涼宮さん。
顔色悪いんじゃない?ちょっとこっちに」
そう言って社長室に招かれる。
『何か、御用ですか?』
雄島「昨日は楽しかったね。
二日酔いとかになってない?」
『…大丈夫です。
…で、仕事の話じゃないなら
戻っていいですか?』
雄島「ちゃんと仕事の話もするよ。
昨日君のとこのサウンドチームから
色々要望や意見が出て、
その中でみんなが共感してたことが
涼宮さんの音楽センスが高いから
自分が作った曲に手を加えられると
それの出来が良すぎて
自分の曲に思えなくなるって話があった。
君の能力は誰もが買っていたけど、
アレンジや修正も彼らに託せないかな」
『…昨日はいない人の
愚痴大会だったんですか』
雄島「愚痴じゃないよ。
さっきも言ったとおり、
涼宮さんが作る音楽には説得力がある、
自分じゃ絶対思いつかない領域って
みんな言ってたよ。
でも、その話を聞いて僕は
後輩を育てることも君の仕事だから
やり方を変えてほしいと思って
呼んだんだ」
『…そうですか。
仰っていることはわかりました。
善処します』
雄島「よし、じゃあ、もう行っていいよ」
社長室から出ると、
企画チームがなんだか騒がしい。
美沙も荒れてるようだし。
それを横目に自席へ戻ると、
社長はすかさず美沙に
雄島「どうした?何かトラブル?」
美沙「なんでもありません」
美沙がバタバタとフロアを出ていったから
雄島さんが他のメンバーから
事情を聞き出していて。
どうやらパルゲームスの
キャラのパクリが発覚したらしい。
…あちゃー。
音楽業界においても
似た曲やイントロが近いだけで
パクリと騒がれる世の中。
事の重大さが伝わってくる。
でも私にはあちらの力になれないし
自分の仕事をしよう、
そう気合いを入れ直す。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こちいこ(プロフ) - みはるさん» みはる様、コメントありがとうございます!需要ないと思いながら書き始めたので嬉しいです。なるべく更新止めないように頑張ります! (2021年8月7日 16時) (レス) id: a9b3fdfb3a (このIDを非表示/違反報告)
みはる - 初めまして。このお話面白いです!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 5d16bd346f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こちいこ | 作成日時:2021年7月25日 20時