結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

交際記念日 ページ32

家に帰ってきて、私は言った。

「その手に持ってる薔薇とケーキって…」




祐一「ああ、交際初日をお祝いしようかなって」

マメだ。


「それなら、ちゃんとしたもの
作れば良かった…」




祐一「いや、充分だよ。
いい匂いしているし、
僕、今日のエビチリは絶対忘れないと思う」




「祐一さんって本当に良い人ですね」



祐一「え？良い人…？」



「気遣いの王様です」



祐一「そんなことないし、
良い人って言われるのも嬉しいけど、
恋人として満足してもらえるように頑張るよ」



だから一言多いんだって。
そういう一言が、
スーパーなんとか王子に見えちゃう女子を
作り上げるんだろうななんて。



「じゃあ、私もちゃんと恋人になれるように
頑張ります」

私にはこれが精一杯。




祐一「Aはそのままで良いんだよ。
僕は今のキミが好きなんだから」



そういう問題ではないだろう、とは
言えなかった。

言葉に詰まってしまったから。





「…折れた薔薇、貰っても良いですか？」




祐一「もちろん。Aにと思って買ったんだ。
折れてても良いの？」




「はい。折れたところから切って
飾りますから。
ケーキも中身は無事かな、？」




祐一「お婆さんの自転車のカゴに入れてたから
箱は潰れかけてるけど、どうだろう？
…なんとか無事かな」




「せっかくなので頂きましょう？
ドタバタな2人のスタートをお祝いして」




祐一さんは作った料理を
美味しい、美味しいと連呼しながら
綺麗に食べてくれた。


男の人に手料理振る舞ったのも初めてで
ちょっと緊張していたから
満足してくれたようで良かった。


祐一さんが買ってきてくれた
3号のデコレーションケーキは
見た目は小さくても
2人で食べ切るには大変だったけど、

私が昔に夢に見ていた、「ささやかな幸せ」は
きっとこういうことをいうんだろうと思った。






片付けをして、
少しゆっくりした祐一さんは帰っていった。








その日から祐一さんは、
毎日メールや夜の電話をくれる。


付き合うってこんなに
連絡を取り合うものなんだ、
なんてちょっとびっくり。


祐一さんは負担にならない程度に、と
言ってくれたから
私は頻繁には返さないけど。







あっと言う前に1週間が過ぎ、
柏木社長の検査結果が出る日。


祐一さんは念のため行ってくる、と
朝から病院に向かったらしい。



お昼前に携帯を見ると

From:祐一
お疲れ！
心配かけたけど、父さん
検査異常なかったよ。

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