結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

緊急事態 ページ29

私は彼の携帯を開いた。



…電源切ってる！！


「祐一さん、携帯、置いて行ったの。
今見たら電源切れてた。
…私、その辺見てくる！！」



私はとりあえず祐一さんの携帯も持って
慌てて外に出た。





目の前がパシパシする。


もし、柏木社長のお身体に何かあったら
会社は？うちの代表も務めてくれているのに。

祐一さんだって、
インド行きなんて出来ないんじゃ…



私は探す当てもなく、
近くのコンビニや公園に行ってみたけど
全然見つからなくて。



もし入れ替わりで
家に帰っていたらと思った私は引き返した。


とりあえず家の前に座って待つ。

祐一さんの携帯は充電がなさそうだったから
とりあえずポータブルの充電機で充電して。




私も病院に駆けつけたいけど、
私が行ったところで何も出来ないし、
まずは祐一さんに伝えるのが1番先だ。





寒い…こんな秋の夜にどこに行ったの？


本当に何かあったんじゃないだろうか







かれこれ1時間以上経った。




…





…




タッタッタッタッ、


急に走ってくる足音に
私は急いで駆け寄ると、

そこには待ち焦がれた人の姿だった。



祐一「ごめん…心配させちゃった…？
ちょっと色々あって。
…もしかして、ここで待ってた？」




「そんなことより、緊急！
行きながら話すから一緒に来て下さい！！」


私はすぐにタクシーを呼び、
行き先を病院へと伝える。


「柏木社長、貴方のお父様が倒れたらしいです。
携帯、充電してありますから
早くお母様へご連絡を」




祐一さんの表情が強張っていくのがよくわかる。

タクシーの中で
お母様と電話をする祐一さんを見て
私は少しだけホッとする事が出来た。



数分後、電話を終えた彼は
「父さん、過労だったって。
一応検査入院して、様子を見るらしい」



私はなんて言っていいかわからなかった。
病気ではないのは良かった。

でも、過労となると…
後継者のことを嫌でも意識するだろう。




「社長は意識は…？」




祐一「意識はあるって。
仕事したいから帰るって駄々こねてるらしい」



あらら。


「…そうでしたか。少しホッとしました。
じゃあ、面会も出来そうですね…

…で、祐一さんはどこで何を…？」




祐一「ごめん。これを買いに行っていたんだ。
…けど、もうダメになっちゃったから
あげられないんだけど」




そう言って見せられたのは
一本の薔薇とケーキの箱だった。


…でも、恐らく何かあったということが
わかる痛み具合。

温かい人→←行方知らず

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す