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 授業後、花澄は一度帰宅したあと紫恩の家に向かっている。
 プリント配布で一枚ずつ余分にもらっており、口実はバッチリ。
 昨日尾行して書き上げた地図を頼りに目的地へ急ぐ。

 花澄の家から歩いて10分程で、高級住宅地が見えてくる。ごく普通の家庭に住む彼女はいつも憧れの眼差しで見ていた。
 紫恩の家はそんな高級住宅地にある。

 漫画では卯美が玄関のベルを鳴らしても出なかった。そんな卯美は、なんと紫恩と顔を合わせるために門の前で待ち伏せしたのである。
 予備校の帰宅時間に合わせて家の前でイケメンを待ち伏せする女子。主人公でなければ完全に不審者である。

 などと、自分のことを棚に置き卯美を不審者呼ばわりしている花澄だが、彼女は今それと全く同じことをしようとしている。
 卯美と違うことといえば、呼び鈴に反応しないことをわかっていて最初から待ち伏せすることくらいだ。

 紫恩の家は立派だった。門の先には手入れされた庭があり、姓にちなんで藤棚がある。
 五月に見頃を迎える藤の花は今が一番美しい。薄紫のカーテンが庭を上品に彩っていた。

 昨日はバレないように家の位置を確認しただけだったので、改めて見て壮麗さに息を飲む。

 花澄は閉ざされた門の前で紫恩を待つ。金属の格子で作られたヨーロッパ風の門が彼女は気に入った。スマホの時計を見れば、昨日紫恩が家に着いた時刻と同じだ。

「誰?」

 慌てて花澄が顔を上げると、そこに彼がいた。花澄にとっての要注意人物――あるいは逆かもしれないが――の藤枝紫恩だ。

「久しぶりだね、紫恩くん。同じクラスの白石花澄だけど、覚えてる?」

 彼女が笑顔で語りかけた相手は怪訝な顔をした。突然馴れ馴れしく下の名前を呼び、白石花澄と名乗ったのだ。
 あの、変な髪型だった白石花澄だと。

 他の生徒はほとんど覚えていない。
 しかし、彼女のことだけは覚えている。おかしな髪型をして皆から馬鹿にされていた。
 もちろん紫恩も馬鹿にしていた。

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設定タグ:コメディ , 転生 , 市販書き(一次創作)   
作品ジャンル:その他, オリジナル作品
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紅月まのか - もしかしてツンデレですかね.......?(え)更新日昨日か.......あと1週間待ってます!頑張ってください! (2019年7月21日 7時) (レス) id: b975388040 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり(星沢想良)(プロフ) - Couteau_1937さん» 直しました! ありがとうございます! (2019年6月29日 9時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
Couteau_1937 - 細かくてごめんなさい!!「復讐」が「復習」になってます! (2019年6月23日 21時) (レス) id: deb1b5318f (このIDを非表示/違反報告)
ひよ - オリジナルの中で一番好きです!楽しすぎて久また読み返ししてました笑笑更新頑張って下さい! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 85d98be7fd (このIDを非表示/違反報告)
りゆ - とても面白くて、楽しみだったので、更新、戻って来てくれると嬉しいです!(>_<) (2019年6月2日 15時) (レス) id: ebc25fbea8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花杜あみり(星沢 想良) | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年12月25日 16時

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