一番ではなくとも構わない。 ページ41
ショウガside
「A様……」
A様の元へ帰還して一日が経つ。
いまだに目覚められる吉兆は見えぬ。一体どうされてしまったというのだ。
『…お……さ……』
その時、聞き取れないほど小さいが、Aさまの掠れた声が確かに我の耳に入ってきた。
「っ！A様っ！？」
お目覚めになられたのか。
我はA様のお顔を覗き込んだ。
『いや……いかないで………一緒に……いてって………言った…のに…』
そして、また寝言を呟かれた。
A様は確かに、そう言った。
「………我はここにいます。A様」
我はどこかで理解した。
その言葉が我に向けられておらぬと。
あのリムル様ですらない、誰かなのだとどこかで感じ取った。
A様にとっての誰よりも大切な存在……一番の者に向けられた言葉なのだと。
「A様………」
我は、不敬だろうと理解しながらも、A様を抱き締めた。
腕の中に余裕を持って収まるA様の体は華奢で、脆く折れてしまうのでは無いのかと思うほど小さかった。
こんなお体で………A様は……。
我が抱き締めると、A様はどこか少し安心したように、苦しそうに泣くことがなくなった。
涙は流れ続けておられるが、少なくとも悲しみの涙ではなくなられたようだった。
だが、更に一日経ってもA様はお目覚めになられない。
今頃リムル様達は国へ着いていることだろう。
そう言えば、A様からお伽噺を一つ聞いたことがあった。
まだ我が名付けをされて間もない頃だ。
その話は、眠った姫は、王子が口づけをすることで目を覚ますというものだった。
我は王子ではないが、そうすることで起きてくださらないか？
………いや、駄目だ。それはしてはならぬ。そうしてしまえば、我はA様に嫌われてしまうだろう。
我はA様の髪を手で撫でるだけで止めた。
我にとって何よりも大切な主……願わくば、いつまでも隣に立ちたいと思う。
A様と出会い、その温かさにいつしか我は溺れた。
頂点に立つことよりも、A様の側にいたいと願ったのだ。いつまでもA様に、温めて欲しいと。
これでも親の身だというのに呆れるものだな。まるで幼い子供のようだ。
A様が呼んだ、姿すら見えぬA様の一番は羨ましいに限るが。
我はA様にとっての一番で無くとも構わぬ。
いつまでも我は、忠実なる配下としてA様のお側にいたいのだ。
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虚白 - オ モ シ ロ イ‼️ (2022年2月11日 17時) (
レス) @page3 id: 66fd9d0c2f (このIDを非表示/違反報告)
黒（noir） - 飛鳥さん» ありがとぉ！嬉しいです！これからも頑張って書きます！(^o^ゞ (2019年5月12日 20時) (レス) id: db96c10a8f (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - とても読みやすく面白いです！ これからも頑張ってください！(*^ω^*) (2019年5月12日 17時) (レス) id: 6873657524 (このIDを非表示/違反報告)
黒（noir） - トド丸さん» うわぁぁぁぁ！ありがとうございますぅっ！多少ばらつきがありますけど更新頑張りまぁぁぁっす！!щ(゜▽゜щ) (2019年5月12日 16時) (レス) id: db96c10a8f (このIDを非表示/違反報告)
トド丸 - やべぇ、こりゃ天才だぜ。文章書くの上手いですし、続き楽しみにしてます！！頑張ってください！ (2019年5月12日 16時) (レス) id: 4ca7dc8e23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒（noir） x他2人 | 作成日時：2019年5月9日 19時
