天使くんと。 (ページ29)

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28, 天使くんと。ページ29

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「ひか、今度一緒に旅行行こうねって言ってたのに死んじゃったんだよ？ヒドくない？」

「最後ですらも人のために動いちゃうんだもんなぁ、アイツの場合」

「光くんはほんとにただいい人って言葉じゃ片付けられないよ」

俺のお葬式の日。

一晩たって少し落ち着いた3人が俺にお線香をあげ終えて口々に俺を語る。

てか、高木さん以外はちょっといかがなものよ。

3人が座ってる隣の座布団に
俺とけいくんも座ってるんだぞ笑

このまま成仏しなかったらきっとこの世界にこうやって残る事もできるんだろう。

ちょっと名残惜しい気もするけど、俺には大事な役目があるからね。

「さ、そろそろ行こっか。けいくん」

「ひかる…」

「大丈夫、大丈夫」

棺を閉じられて火葬場へ送られる俺。

想像してたよりも短い人生だった。

だけど不思議とやり残したことは少なくて

それはきっと、けいくんがこの世界に来てくれて親になるって体験を擬似的にさせてくれたから。

優しい気持ちを知れて、いろんな人に感謝されて、人のために何かするのも悪くないって事に気付けたから。

欲を言えばもっと長生きして

大ちゃんと約束した旅行にも行って
薮と毎日くだらない言い合いをして
高木さんにたくさん褒めてもらって

みんなと一緒に歳をとって

みんなの側にいたかったけど。

だけど俺はね、

これからけいくんのお父さんになるんだから。

けいくんが選んでくれたから。

けいくんが望んでくれたから。

俺はしっかり君のお父さんやるよ。

大ちゃん
薮
高木さん

本当にありがとう。ずっと大好きだよ。

fin.