第六話 ページ8
「ていうかね、僕が喋れるようになったんじゃなくて、君が僕の言葉が分かるようになったの」
ようやく、笑いが治まった私にリアムが言う。リアムの視線が少し冷たい気がする。
「え。なんで？
今までだってずっと一緒にいたじゃない」
今までの十数年はなんだったのか。別に今日何かがいきなり変わった事があったわけじゃ……。
「あ、記憶が戻ったからなの？」
私の言葉にリアムがニヤリと笑う。
「君って意外と賢いんだね。もっと馬鹿なのかと思ったよ」
……こいつさらっと貶したな。
と、その時ガラッと音を立ててドアが開く。その隙にリアムが机の下に隠れた。
あ、こいつ逃げたな。
「ただいまー」
長い茶髪をひとつに結んだ茶色の目の女性、今世の母が帰ってきた。若くて元気で明るくてパワフルで、怒ると恐いお母さん。
母が、怒ると恐いのはいつのどこの世も変わらないらしい。
「お帰りなさい！ あれ、お父さんは？」
なんだか前世の記憶があるから呼び方に違和感がある。でも、お父さんはお父さんだし、お母さんはお母さんだ。
「お父さんは、店を閉めてから帰ってくるって」
店というのは両親が営む小さな飲食店だ。
家から徒歩で20分ほどの場所にある。前世でいう定食屋のような感じの本当に小さい店だけど、お昼時には満席になってしまう人気店。ちなみに、最近お弁当を売りだしたところ、なかなか好評らしい。
「そういえば、エミさんにもらったお土産があるの。来てごらん」
エミさんというのは、たしか店の隣にある八百屋の奥さんだ。
お土産ってなんだろう？ウキウキしながら玄関先に歩いて行く。
「はい、コレ。可愛いでしょ？」
そう言ってお母さんが渡してきたのは白いシャツに水色の服。派手ではないけど、洒落たフリルが付いていてとても可愛い。
「わぁ、可愛い！」
正直に本音を口に出す。
「エミさんのとこのミラちゃんいるでしょ？
元々はミラちゃんの物なんだけど、もう着られないからミナにくれるって」
ミラさんは今17才の娘さん。モデルのような容姿で、こういう服がとても似合う。もちろんモテる。
八百屋の売り上げは彼女が生まれてから鰻登りだとかなんとか。
「ねぇ、お母さん。この服を今着てみて良い？」
「えぇ、いいわよ。
そういえば、紅茶を淹れるけど飲む？」
お母さんがティーポットを持ちながらいう。
「うん、飲む！
ちょっと着替えてくるね」
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ふりかけカスタード - きゅうりが死因ｗ更新楽しみにしてます！ (2017年8月21日 13時) (
レス) id: f6c6c4268e (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス@桜飴(プロフ) - 従順なこいぬさん» 返信・更新が遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます、本当に嬉しいです！ (2017年6月26日 21時) (レス) id: f79117ebd7 (このIDを非表示/違反報告)
従順なこいぬ - 面白すぎて、夜なのに思い切り吹き出してしまいましたw (2017年4月3日 22時) (レス) id: 05eb78a7ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ娘 | 作成日時：2016年5月30日 12時
