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「すご…」




美術室の扉を閉めると、真っ暗だと思っていた部屋が淡いオレンジに照らされていた。


夕日に照らされてるんだ……





?「…次のモデルか?」





「えっ、あ、はい…」







部屋の奥、夕日に照らされていたのはスケッチブックを脇に抱えた男子生徒。
この人が皆が言っていた"あの人"なのかな。





?「とりあえずそこ座れよ」






指示された椅子へと腰を掛けると、目の前の椅子に彼も座った。
案外近い距離に、自分の目について何か聞かれるんじゃないかと心臓が煩く鳴った。



もしバレたら……きっと彼も私を軽蔑する。






「あ、の…モデルって言っても別に顔とかは隠してもいいですよね?」





?「…俺は手前の顔だけ描きてぇんだよ。
ハッキリ言って手前の体には興味ねぇ」





早速ページを捲ってそこに鉛筆を走らせていく彼。
鉛筆の走る音、廊下のざわめき、自分の心臓の音が全部全部煩い。

なにか話題は…





「あの、名前って…」




?「中也。手前は寺宮Aだろ?」





中也と名乗った彼はチラッと私の目を見るとまたスケッチブックに目を移した。
なんで私の名前を知ってるの…。


そんな疑問が通じたのか、彼は静かに口を開いた。





中也「目。学校で有名だからな」









心臓が止まった。






そう表現する方が正しいくらい、私の心臓の音が一瞬聴こえなかった。
それでもすぐに大きく脈打つ心臓に息が詰まる。






「……か、帰りますっ」






ガタンと椅子から立ち上がってドアまで走る。
後ろで椅子が倒れた音がして、私の右腕がピリッと電流が駆け巡ったような感覚になった。







中也「勘違いすんな。俺はモデルになる人間を探してるだけだ。別に手前の目に触れるつもりはねぇから」






彼に腕を掴まれてると分かったのは、ドアから離れてく事に気付いた時だった。







どうして私はこんな目なんだろう。







目の前で鉛筆を走らせていく彼をぼやける視界に映しながら、私はそんな事を考えた。

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天さん - 我輩は猫であるさん» 返信遅れました!こちらこそありがとうございますっ!リアル捨てないでくださいね!?更新頑張ります´ω`* (2017年7月31日 1時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - 和さん» 返信遅れました!お久しぶりです!もちろん覚えてますよ!こちらこそありがとうございます!頑張りますので応援よろしくお願いします!! (2017年7月31日 1時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - きよみさん» 返信遅れました!ありがとうございます…!本当にスランプは悲しいです…。沢山の方に迷惑をかけてしまいました…。すみません。頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2017年7月31日 1時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
我輩は猫である - これを読むと本気でリアルを捨てたくなります天さんありがとう (2017年5月25日 18時) (レス) id: 37cf0ebbfb (このIDを非表示/違反報告)
我輩は猫である - おおおおお!!!!新作ですか!!中也さんですか!!!ありがとうございますごちそうさまですうわあああああ←これを世間はヤバい猫と言う。 (2017年5月23日 17時) (レス) id: 37cf0ebbfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819  
作成日時:2017年5月21日 3時

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