ネコと異能力 ページ10
「それで、君の異能力だけど」
そろそろ煮干しの尻尾で口の中が切れ始めた頃、太宰と呼ばれていた包帯男が私から煮干し袋を没収した。
ああ、そんなぁ
「私の予想だと、ネコになれると思うんだよね。ネコ耳だけじゃなくて、本物のネコに」
『ネコ・・・ですか』
耳がぴょこんと動く。
これはまだ初期状態って事なの?
じゃあこれから尻尾が生えて背が縮んで、いつかは四つ足で歩くのか。
なんだかいいかも。
「でも何時なるかは分からない。君は見えないから知らないだろうけど、煮干しを食べてる時が一番ネコ耳が活発的に動いているんだよ。何らかの感情で知らず知らずのうちに異能力が発動していると考えるのが妥当だね」
それはつまり、私の感情が大きく動いた時がネコになれる時だと・・・。
煮干し食べ続ければネコになれるんじゃ・・・・・
包帯男から煮干し袋を取り返そうと手を伸ばした
が、その手は別の手に取られた。
「ま、そんな事僕はさせないけどね」
『何でですか?』
「リードが必要になる」
『なるほど』
仕方ないから煮干しからは手を引いた。
こ、今回だけだし。次回は絶対に取られないようにする。煮干しを横目に私は遠ざけるように離れた。
でもネコになってみたいなぁ。
ほら、なんだか憧れがあるじゃん?塀の上を歩いたり屋根に乗ったり。人間が出来ない事を出来るのっていいなぁって思うの。
まあ逆にネコは人間が出来る事を羨ましがるんだろうけど。
そう思うと、私はラッキー?
「ほら、また耳が動いてる!」
『わっ』
乱歩さんがくしゃっと頭を撫でた。
どうやらまた耳が活発的に動いてたらしい。
撫で続ける手は嫌じゃなくて、むしろほわんと心が温かくなる。
その時、後ろから眼鏡の男の人が指摘した。
「おい小娘。それはなんだ」
彼が指を指す先は私のお尻。
な、勝手に見ないでよ!
と思ったけど、
『こ、これは何ですかね』
「完璧に尻尾だね」
包帯男が物珍しそうに見る先、ボロズボンの隙間からひょろひょろと動くのは誰がどう見ても尻尾。
ええ、待ってどういう事?
「ちょっとズボン脱いでよ」
『はぁ!?正気ですか!?』
興味津々といったように尻尾を眺める乱歩さんが冗談とは思えない冗談をかました。
これはきっと冗談だよ。
・・・・・冗談でしょ!?
「いや、本気だから」
そんな真剣な目で見ないでください。
「あ、耳下がった」
後ろで包帯男が楽しそうに笑った。
677人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫もふお - めちゃくちゃ面白かったです!最終話は感動してちょっと涙が出ました!神作品をありがとうございます! (8月21日 16時) (レス) @page34 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - べにぢゃけさん» 可愛く描いてもらいました(´ω`)アドバイスは御本人にお願いします(`・ω・´)きっとうさぎちゃんなら喜んでくれますよ! (2018年1月4日 0時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
べにぢゃけ(プロフ) - 最初のイラスト上手ですね!手を除けばですけど!あのポーズだと親指は後にあるはずなんですよねww (2018年1月4日 0時) (レス) id: d20295d5ac (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - 生流れ(せるれ)さん» 最後までありがとうございました!!完結できて良かったですε-(´∀`*)ホッこれからも頑張りますので、よろしくお願いします!(*`・ω・´) (2017年12月27日 10時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
生流れ(せるれ) - 完結おめでとうございます<(_ _)>凄くハラハラドキドキでした!そして、乱歩さんと夢主ちゃん可愛い!!これからも頑張って下さい!! (2017年12月27日 6時) (レス) id: 37c30113ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年11月19日 3時