ネコと餌付け ページ9
｢あーあ。バレちゃった｣
乱歩さんがラムネの瓶をｶﾗﾝｶﾗﾝと傾けた。
その音に反応するように私の耳はぴくんと動く。それを包帯男は楽しそうに指で撫でた。
あの、こしょぐったいんですが･･･
しかし初対面の人にそんな事言えるほど度胸はなく、結局彼の思い通りに触られる始末。
そして乱歩さんはこう続ける
｢僕だけの秘密にするつもりだったのに｣
と、言うことはだ。
彼も私の異能力とやらを知ってて黙ってたってこと？
『知ってたんですか？』
｢うん｣
そ、即答･･･
そういえば煮干しを貰った時やエレベーターの時に、包帯男がやったように頭を撫でられた。
左右を撫でて･････それこそ耳をしまうかのように____
つまりは、最初から分かってたんだ
それって、かなり恥ずかしいじゃないか
｢てか太宰！Aの耳触るの禁止！｣
｢え〜。だってこれ凄く触り心地いいですよ？｣
その時、さらりと耳の付け根を弄られた。
『っ！』
味わった事もない感覚が全身に広がる。
うわ、凄くぞわぞわする
｢･････なに、Aは太宰に触られた方がいいわけ？｣
『ち、ちがっ･････』
違うんです何でか分からないんですが･･･か、体が勝手に！
｢へぇ？じゃあこっち来なよ｣
薄らと開いた翠の瞳が私の瞳を捕らえる。
ｷﾞｸｯと体が跳ねた。多分3センチくらい･････いや5センチいったかも。
隣では包帯男が｢おぉ〜｣と声を上げていた。
チラリと鏡で見てみれば耳がしょんぼりと下がっているではないか。
しょげるな耳。
頑張っておくれ
そんな願いも虚しく、部屋の温度が下がる一方だったので諦めて乱歩さんの元へと行く事に。
不貞腐れる乱歩さん。
私はどうすれば･･･
｢A。君は僕の何｣
『･･･ペット、ですけど』
｢じゃあご主人様以外に尻尾振ったらダメだよね？｣
『･････仰る通りで』
それだけ言って乱歩さんは勢いをつけて椅子から立ち上がった。
｢はい。じゃあ煮干しね｣
に、煮干し！
思わず出た手が煮干しをかっさらってムシャムシャ。
やっぱり美味しい。これ無限に食べられそう。
次々と伸びる手を誰も止めないからどんどん食べちゃう･････なんて言い訳を頭の隅に、私は食べ続けた。
そんな化け物級に煮干しを口に含む私の頭を、乱歩さんはゆっくりと撫でた。
なんだか餌付けされてません･･･？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫もふお - めちゃくちゃ面白かったです！最終話は感動してちょっと涙が出ました！神作品をありがとうございます！ (8月21日 16時) (
レス) @page34 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - べにぢゃけさん» 可愛く描いてもらいました(´ω｀)アドバイスは御本人にお願いします(｀・ω・´)きっとうさぎちゃんなら喜んでくれますよ！ (2018年1月4日 0時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
べにぢゃけ(プロフ) - 最初のイラスト上手ですね！手を除けばですけど！あのポーズだと親指は後にあるはずなんですよねww (2018年1月4日 0時) (レス) id: d20295d5ac (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - 生流れ（せるれ）さん» 最後までありがとうございました！！完結できて良かったですε-(´∀｀*)ホッこれからも頑張りますので、よろしくお願いします！(*`･ω･´) (2017年12月27日 10時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
生流れ（せるれ） - 完結おめでとうございます<(_ _)>凄くハラハラドキドキでした！そして、乱歩さんと夢主ちゃん可愛い！！これからも頑張って下さい！！ (2017年12月27日 6時) (レス) id: 37c30113ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天さん | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2017年11月19日 3時
