江戸川乱歩に懐かれた【江戸川乱歩】

ネコと包帯 ページ7

これは、どういう状況だろうか。




｢異能力･･･なのか？｣




眼鏡の男の人が心底驚いたように私を見た。
私の隣には包帯を巻いた男の人が立ってて、その手は私の頭の上に置かれてる。


部屋の奥にある椅子には乱歩さんがつまらなさそうにラムネを飲んでいた。


そして告げられた衝撃的な事実。






｢君、ネコになれるんだね｣


『は、ぃ？』





包帯男は目をキュッと細めて頭を撫でる動作を繰り返す。
その度に私の寝癖がぴょこんぴょこんと跳ねた。



これは、どういう状況だろうか(２回目)




数分前、




乱歩さんが入ったのは"武装探偵社"というプレートが貼られた部屋だった。
それに続いて私も中に入ったけど、その瞬間に私の体が後ろに吹っ飛んだ。




正確に言えば何かが飛んできて巻き込まれた、だろうか。



入ってきたドアを再び戻って廊下の壁に思い切り背中をぶつける。
その衝撃と言ったら、一瞬頭がはち切れそうなほどぐわっと揺れたくらいだ。
いや、これじゃ伝わらないか･･･。



何が飛んできたのか埃が舞う廊下を目を凝らしてみれば、それはどうやら人だったようだ。
凄い。人ってあんな風に飛べるんだ･･･。



でも問題はそこじゃなかった。





バクバクと鳴る心臓の理由。
それは飛んできたのが男だったということ。
生きてきて関わった男は父親くらいだろうか。しいていえばホームレス仲間のおじいさん達くらい。


要するにこんな若い男の人に馬乗りされてるこの状況は･････非常にまずいです。





｢いったた、もぅ国木田くんは乱暴だなぁ････････あれ、もしや私は女性を下敷きに！？｣






ようやく私の存在に気づいたか、
パチっと合った瞳と瞳が混ざり合う前に彼は私の上から退いた。
その素早さは目が追いつかないほど。



それよりも背中と腰と腕と足と･････全身がジンジン痛む。





｢すまなかったね。立てるかい？｣





頭上からの声のあと、差し出された包帯だらけの手を取った。



その瞬間だった。


握った手の間から青白い光が出たのは。





___そして冒頭に戻るわけです。





｢君、気づいてないのかい？｣





今まで存分に撫でていた手がパッと離される。
どういう意味なのか理解出来ずに首を傾げると、何処から取り出したのか手鏡を渡された。



え、まさか寝癖酷いとか？
私は恐るおそる鏡を覗き込んだ。





『･････わぁお』





思わずそんな声が漏れた。
だって鏡に映る私の頭には、ハッキリとネコ耳がひょこひょこ動いていたから。

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