ネコと勘違い ページ20
冷や汗がポタリと垂れた。
吐き気がする時とはまた別の、生と死の狭間に立った時の恐怖から。
一歩でも踏み外せば私は真っ逆さまに暗闇へと落ちるだろう。そこからは永遠に這い上がれず、乱歩さんとも・・・・・
「手前が・・・俺の部下を殺ったんだろ?」
男は怒りをあらわにして私のネコ耳を銃の先で弾いた。
ビクンッと震える耳。
死ぬ、のかもしれない。
『私は、殺してません。貴方がどこのどなたか存じませんが、私は貴方を知らないし、貴方の部下とも面識がございません』
逆鱗に触れないように。
「じャあ、そのネコ耳はなンだよ?」
男が私の正面に回った。
相変わらず頭には黒光りする物体が当てられているが、やっと男の姿を認識できた。
黒帽子に黒い外套。橙色の髪の毛は森の隙間から差し込む光に照らされ、怒りを宿す瞳は青空よりも深い色だった。
「殺された部下が、最後に無線で言ッた。"ネコ"ってな」
ネコ・・・・・
それならば私は犯人に思われてもおかしくない・・・か。
『違います!貴方なら分かるんじゃないんですか!?私から血の匂いがしない事くらい!』
銃を扱える。部下が殺されたと思っているなら真っ先に私を殺そうとするはず。それなのに、私をここまで生かすのはそれなりの理由があるはずなんだ。
だって、
『私は、貴方のような強い人の部下を殺せるほど力はありません。貴方なら既にその結論に辿り着いているはずです』
私に向けられた銃口が微かに震えている。
「アイツは、新入りだったンだ・・・」
それは見た事がある眼だった。
いつの日か、両親に向けられた______
『これでおあいこです。私も貴方を疑えない』
私は湿るお尻を払いながら立ち上がった。
こんな悲しそうな眼をするんだもの。
とてもじゃないけど、部下を殺せるとは思えない。
銃を下ろした彼が私に頭を下げる。
「すまなかった。何かのせいにしたかッたんだ。部下を救えなかったこと、自分の弱さを」
気持ち、小さく背を丸める彼に私はガチガチに固まっていた肩を解した。
よかった。彼が頭のいい人で。
怒りに任せて動いていたのなら、今頃私はあの世だ。
『いえ。あの煙草の匂いはやっぱり貴方なんですね』
「煙草・・・・・手前ンな事も分かんのか?」
『ネコですから』
得意げに微笑んだら、改めて気づいたのか凄くキラキラした目で私の耳を弄り始めた。
こいつもかッ
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黒猫もふお - めちゃくちゃ面白かったです!最終話は感動してちょっと涙が出ました!神作品をありがとうございます! (8月21日 16時) (レス) @page34 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - べにぢゃけさん» 可愛く描いてもらいました(´ω`)アドバイスは御本人にお願いします(`・ω・´)きっとうさぎちゃんなら喜んでくれますよ! (2018年1月4日 0時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
べにぢゃけ(プロフ) - 最初のイラスト上手ですね!手を除けばですけど!あのポーズだと親指は後にあるはずなんですよねww (2018年1月4日 0時) (レス) id: d20295d5ac (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - 生流れ(せるれ)さん» 最後までありがとうございました!!完結できて良かったですε-(´∀`*)ホッこれからも頑張りますので、よろしくお願いします!(*`・ω・´) (2017年12月27日 10時) (レス) id: b9103288e7 (このIDを非表示/違反報告)
生流れ(せるれ) - 完結おめでとうございます<(_ _)>凄くハラハラドキドキでした!そして、乱歩さんと夢主ちゃん可愛い!!これからも頑張って下さい!! (2017年12月27日 6時) (レス) id: 37c30113ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年11月19日 3時