大佐と刀剣

霖と翡翠 ページ21

2年前、念願の政府役員として入社した俺は上層部からある企画への参加を呼びかけられ、新人としてその企画への参加に胸を躍らせていた
その企画の内容を聞くまでは…
企画…いや、そのプロジェクトとも言える内容は人として非道とも言える内容だった
ブラック本丸による審神者死亡率を下げる為に、過去へ渡り死亡予定者をブラック本丸へ派遣し通常運営出来るまで改善させ死んでいただくというものだった
「『…なんて非道な』」
思い描いていた役員としての仕事とはかけ離れていた
そして思った、役員になれたのは実力ではなくこのプロジェクトを試すための駒としてだったのではないか？
辞めてしまうか？
でも…、夢にまで見た役員職
審神者と関わり歴史を守る為にサポートしていく…
その仕事に憧れた結果がこれか？
こんな計画のために役員になりたいわけじゃない！
こんなプロジェクト…潰してやろう！
そして行動した
このプロジェクトを使ってこの計画を潰せる人間を選ぼうと
そして探して探して、見つけた
日本帝国陸軍大佐
仲間を失い
家族を失い
故郷を失い
自らの命をも失った…
だが、たったひとつ残った信念
この男ならば！と、地に降り立ち早速と話を持ちかけに行ったが…失念していた
彼が『大佐』という地位にいることに
それも帝国軍の大佐だ、普通に話すどころか近づくことすら容易にはできない
その上、大佐本人も相当警戒心が強く側近は必ず2人は控えている
地位が高いだけに権力目当ての女性や地位目当てで自分を売り込むような者もいるが…そんな人間に対し大佐は射殺さんばかりの視線を向ける
そんな警戒心の塊に見ず知らずの自分が話しかけようものなら…
さらに警戒されるだけだ

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