第佰陸話 ページ9
「呼吸を使いこなすために努力だってした、物語に沿って進もうと…頑張った。
なのに何一つ……物語と同じにはいかなかった」
ぽたり、涙が溢れる。
辛いんだろう、苦しいんだろう。
だけど私は……同情なんてしない。
キツい言い方かもしれないけど、これは自己責任。
全て天星さんが招いた結果なのだから。
そして…平凡な生活を送りたいと言いつつ未だに鬼殺隊に残っているのも……私の招いた結果。
結局、他の誰のせいでもない。
「"天星 愛"を引き立てる役目のはずの"野一色 美華"は一向にいじめてこないばかりか、柱の人たちからも慕われている。
初めて会った時、衝撃を受けました。
……これじゃ、物語が正しく進まないって」
……あの時の握手が強かったのはそのせいか。
私に敵意剥き出しだったのも、それを聞くと分からなくはない。
「だからあの時、チャンスだと思ったんです。
ここで野一色さんを庇って野一色さんに盾にされたように見せれば……全て、元通りになるかもって」
あの時、とはきっと遊郭での戦闘。
迫る堕姫の帯を前に……飛び出してきた時のこと。
「でも結局ダメでした。
やっぱり何もかも上手くいかない。
私の愚かな行動で野一色さんは怪我をしてしまった……本当に、ごめんなさい」
溢れる涙を拭う事もなく、天星さんは頭を下げる。
……心からの謝罪だと言うことは、よく伝わってきた。
それに関しては私ももう怒っていないし、怪我も治ったので咎めるつもりはない。……だけど。
「……何もかも上手くいかなかったのは、天星さんの根底に"どうせ悪役が踏み台になってくれる"って考えがあったからですよ」
「!」
「努力することは立派です、尊敬します。
だけど……努力してるからといって他人を貶めるようなことをしていい訳がありません」
物語では悪役なんだから痛い目に遭っても仕方ないで済まされるかもしれない。
確かに悪役って必要、正義の味方ばかりのお話はきっと面白くない。
でも……現実世界では、誰かを騙し傷つけた瞬間正義は悪に成り下がる。
たとえその相手が、自分が悪と思っている者であっても。
「ここは漫画の世界でも夢小説の世界でもない。
私たちにとっては、ここが現実なんです。
だから、他人を陥れようとすればそれは必ず自分に返ってきます。何倍にも、膨れ上がって」
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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ばなな( ?)バナナさん» コメント、ありがとうございます!完結後のことはまだ考えておりませんが、まずは本編を完結させるべく執筆していきますので…更新ペースはゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします! (8月9日 11時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな( ?)バナナ(プロフ) - いっぱい寿司...この続編とかでキメ学とか書いて欲しい...(ᵒ̴̶̷᷄ ᵒ̴̶̷᷅) (8月7日 5時) (レス) @page34 id: 0b7a4ff9a1 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - あきらさんさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!天星ちゃんはなんだかんだで私も好きなキャラです笑 更新ペースはゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (7月29日 11時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
あきらさん(プロフ) - 初コメ失礼します!!作者様の書く小説が好きです、このお話もめちゃくちゃ読みやすくて、感情とかがスっと頭に入ってきました!とくに天星ちゃんのオタク?っぷりなところや真剣なところなども好きです!作者様のペースで更新頑張ってください! (7月27日 20時) (レス) @page34 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» ありがとうございます!愛ちゃんはもう別人と言っても過言ではないですね笑 更新はゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2023年1月6日 23時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2022年7月31日 19時