第佰弐拾捌話 ページ31
沈黙がこの場を支配する。
あぁ、この雰囲気で一体何を話せばいいのか。
すると、ふと視界に仏壇が目に入る。
「……あの、カナエさんに手…合わせてもいいかな？」
咄嗟に口から出た言葉ではあるが、ここまで来たからには手を合わせておきたいというのもまた本心。
私はカナエさんと直接会ったことはない。
私が鬼殺隊に入った頃にはもう既に亡くなっていた。
だけどしのぶから上弦の鬼に殺されてしまったということは直接聞いていたし、蝶屋敷に来れば時々仏壇に手を合わせたりもしていた。
それに何より原作を知っている私にとっては、ただの友達のお姉さん……というわけでもないのだ。
「……どうぞ。
美華さんが来てくれて、姉も喜んでいると思います」
笑顔のしのぶに促され、私はゆっくりと仏壇の前に腰を下ろして前を見据える。
そして、手を合わせた。
どうか、しのぶを守ってあげてください。と。
守ることは難しくとも、これから命を賭けて戦う私の大切な友達のことを見ていてください……と、心の底から祈った。
「……美華さん。
何処から聞いていたんですか？」
「え？」
カナエさんの仏壇から後方へと視線を移すと、何処か真剣な表情のしのぶと視線が交わる。
何処から聞いてた……というのは、先程のしのぶとカナヲちゃんの会話のことだろう。
何処からも何も……全く聞いていないんだけど。
「全然、何も聞いてないよ。
カナヲちゃんが部屋を出て行く時にちょうど来たところだったし……」
「相変わらず嘘が下手ですね」
う、嘘じゃないのに……。
確かに前世の記憶があるから話の内容を知ってはいるけど、この場で聞いてはいない。
だから全くもって嘘は言っていない。
「美華さん、私が死んだ後……どうか、カナヲや蝶屋敷の子たちのことをよろしくお願いします」
「！」
その言葉に、思わず目を見開いた。
ここまで言われては、しのぶがこの戦いに命を投じるつもりだと嫌でも分かってしまった。
………そんなこと、とっくに知ってはいたのに。
「いや、だよ。
私は……そんなお願い、聞きたくない」
視界が、ゆらゆらと揺れて見えた。
死んだ後、なんてそんな言葉聞きたくない。
大切な友達の最期の願いを、笑顔で聞き入れてあげられるほど……私は出来た人間じゃないのだ。
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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ばなな( ?)ﾊﾞﾅﾅさん» コメント、ありがとうございます！完結後のことはまだ考えておりませんが、まずは本編を完結させるべく執筆していきますので…更新ペースはゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします！ (8月9日 11時) (
レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな( ?)ﾊﾞﾅﾅ(プロフ) - いっぱい寿司...この続編とかでキメ学とか書いて欲しい...（ᵒ̴̶̷᷄ ᵒ̴̶̷᷅） (8月7日 5時) (レス) @page34 id: 0b7a4ff9a1 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - あきらさんさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！天星ちゃんはなんだかんだで私も好きなキャラです笑 更新ペースはゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします！ (7月29日 11時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
あきらさん(プロフ) - 初コメ失礼します！！作者様の書く小説が好きです、このお話もめちゃくちゃ読みやすくて、感情とかがスっと頭に入ってきました！とくに天星ちゃんのオタク？っぷりなところや真剣なところなども好きです！作者様のペースで更新頑張ってください！ (7月27日 20時) (レス) @page34 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» ありがとうございます！愛ちゃんはもう別人と言っても過言ではないですね笑 更新はゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします！ (2023年1月6日 23時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セレーナ・ラフィーネ
| 作成日時：2022年7月31日 19時
