転生先が乙女ゲームみたいなんだが 3【鬼滅の刃】

第佰捌話 ページ11

あれから少し経って……
天星さんの涙もようやく止まった。

目は真っ赤で、心なしが瞼は腫れている。
泣きました感満載の顔で、これはこのまま帰らせたらまた私が天星さん泣かせたとか噂になっちゃうぞ。




「そういえば」
「どうしました？」
「ここって夢小説の世界なんですよね？
その夢小説、どういう話なんですか？」




ずっと思っていた疑問を口にする。

やっぱり夢小説の世界だと知ったからには、その中身が知りたくなるじゃん。
まぁ、もう私がイレギュラーな行動をしたせいでその物語からはだいぶ離れてしまったかもしれないけど。




「えっと……簡単に言えば乙女ゲームみたいな」
「……乙女ゲーム」
「鬼滅の刃の世界をベースにした夢小説で、"天星 愛"を主人公にいろんな男キャラと恋愛を楽しむ夢小説です」




もちろん逆ハーとかもありますよ。
なんて笑顔で言われるが、そのルートにならなくてよかったと心底思う。
だってそのルートに入ったら、私ヤバそうじゃん。
もしかしたら命の危険あるかもしれないじゃん。




「どのルートでも邪魔する悪役は"野一色 美華"なんですけど……」
「あ、やっぱりそうなんですね」
「ちなみに逆ハールートでは悪役は死にます」




おい！なんだその意地悪な夢小説は！
悪役に優しくない！

いや、夢小説や乙女ゲームの悪役なんてそんなものかもしれないけど……
もう少し気を遣ってくれてもいいじゃないか！
なんでそんなルートを書いたんだ天星さん(前世)！
そしてその友達！




「でもでもでも、聞いてください！」




突然ずいっと顔を近づけてきたかと思えば、目を輝かせている天星さん。
本当にさっきまで泣いていた人かと疑った。




「ヒロインと悪役のビジュアルは友達が描いてたんですけど……もう、その野一色さんのビジュアルがめっッッちゃ好みで!!!!」
「は、はぁ……」
「転生して初めて野一色さんを見かけた時はもう嬉しくて嬉しくて……」




つまり、私…というか"野一色 美華"の見た目が好きだということか。
……まあ、確かに前世に比べれば美人だとは思うけど。
この世界のレベル高すぎて眩んでるよね。




「見た目だけは推しだったんです」
「な、なるほど……」




あまりに熱く語るから、その熱量に圧倒される。
……え、この人本当にさっきまで泣いてた人？

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