転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第捌拾話 ページ32

「遅かったじゃねぇか、野一色」
「それはすみません、少し考え事をしていまして」




カチャリと、刀を鞘に収める。
私は頸の落ちた鬼…堕姫の横を通り過ぎ、炭治郎の前に屈む宇髄さんの横に立った。


………やってしまった。
宇髄さんの見せ場を取ってしまった。

いやだってさ？？
鬼殺隊としては目の前に鬼がいたらそりゃ頸斬るでしょ、反射的に刀が出るでしょ。
前世では刀も握ったことのない私が、この世界に染まりつつあることに悲しくはあるけど……それはそれだ。


ともかく、宇髄さんの見せ場はまだまだこれから。
ひとつくらい見せ場取られたところで、どうってことないだろう。
うん、きっと大丈夫大丈夫。




「あんたも柱ね!?
まさかもう一人いるなんて……！」




チラリと堕姫の方を向く。
これから何が起きるかも知ってるし、この鬼の倒し方も知ってる。
さて……ここから全て原作通りにいくだろうか。




「ところで……そこで鬼化しているのは竈門くんの妹ですよね？」




禰豆子は鬼化が進んでおり、炭治郎が刀を噛ませてなんとか堪えている状態だ。
間近で見ると迫力が凄い、なんて場違いな感想が頭に浮かんだ。




「早いとこどうにかしてください。
どうにか出来ないのなら……私が斬ります」
「！」




禰豆子は呻き声を上げ、ジタバタと暴れる。
押さえる炭治郎も、あまりの力の強さに顔を顰めていた。

私だって厳しいことは言いたくない。
言いたくないけど言わなければ。
全員で生きて帰るためには必要なことだから。




「ぐずり出すような馬鹿ガキは戦いの場にいらねぇ。地味に子守り唄でも歌ってやれ」




禰豆子の力に押され、炭治郎は窓を突き破って落下していく。
……きっと、炭治郎なら大丈夫だろう。
流石に主人公がここで死ぬってことはないだろうから。

………え、ないよね？







.







てんおと(この小説の略称)、
ただ今スランプ中につき更新が遅くなります。

本当に申し訳ございません……。

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