転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第漆拾陸話 ページ28

その後、天星さんからの連絡で善逸が居なくなった事を聞いた。
……ここまで、原作通り。

今は炭治郎たちへの定期連絡を宇髄さんに任せ、私は天星さんと屋根の上から吉原の町並みを見下ろしていた。




「私、柱なのに善逸くんを守れなくて……」
「……。」




天星さんはさっきからこの調子。
メソメソしている姿には、正直言って腹が立つ。
慰めの言葉なんてかけようとも思わない。




「何があったのか知りませんけど。
後悔する暇なんて、無いんじゃないですか」




あぁ、こんなんだから余計に悪役ポジションになっちゃうんだ。
もっと優しく、気遣って声をかければ天星さんにとって良い同僚くらいにはなれるかもしれないのに。

それでも……無理なものは無理。
嫌いなものは嫌いだし、いつ何時も優しい言葉をかけるなんて私にはできない。
それが"野一色美華"というキャラクターであって、私の前世からの性格だ。




「あなた、柱ですよね？」
「……は？」
「こんな場面に遭遇して、いつもそんなメソメソしてるんですか？」




天星さんは夢主だ。
きっと、誰が見てもそう。
可愛いし、チートだし、いつも物語の中心にいる。

彼女は強い、私よりも何倍も。
守れる力を持ってるんだから、強いんだから、もっと胸を張って…堂々としていてほしい。

平穏な生活を送りたい……なんて嘆いてる私ですら、命懸けでこの場に立っているんだから。




「あなたの柱としての…いえ、人としての強さはその程度ですか？」




私の理想の夢主像はね。
メソメソ泣く、守ってあげたくなるような可愛い夢主じゃなくて……困難を乗り越えていけるような強さを持つ、そんな夢主なの。

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