転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第漆拾弐話 ページ24

「オイ！なんかあの辺、人間がウジャコラ集まってんぞ！」




伊之助の指差す方に、全員の視線が向く。
もちろん、天星さんも。

私はその隙にスッと手を抜き取った。
だって、手繋いでる意味ないじゃん！怖いよ！




「あー、ありゃ"花魁道中"だな。
ときと屋の"鯉夏花魁"だ」




集まる人の中心にはとても美しい女の人。

……漫画で見た時も綺麗な人、とは思ったけど生で見ると更に美しく見える。
あの人だけ…纏う空気が違って見える。




「一番位の高い遊女が客を迎えに行ったんだよ。
それにしても派手だぜ、いくらかかってんだ」
「嫁!?もしや嫁ですか!?あの美女が嫁なの!?
あんまりだよ!!三人もいるの皆あんな美女すか!!」




宇髄さんに詰め寄る善逸は言わずもがな殴られた。
せっかく化粧したのに泣いたら台無し……てか、化粧が既に元を台無しにしてたわ。




「歩くの遅っ、山の中にいたらすぐ殺されるぜ」
「いや、ここ山の中じゃないし……」




あんな格好で山なんて歩かないでしょ。
思わずつっこんでしまった。

すると、背後から感じる視線。
敵意は感じないけど……何だろう、ちょっと怖くて振り向けない。




「ちょいと旦那、この子達うちで引き取らせて貰うよ。いいかい？
"荻元屋"の遣手…アタシの目に狂いはないのさ」




突然肩に触れられ、びくりと体が跳ねる。
いや怖い…背後にいるのはわかってたけどいきなり触られたらビビるって。




「"荻元屋"さん！そりゃありがたい！」




どうやら私は伊之助と一緒に"荻元屋"というところに売られるそう。
荻元屋かー、伊之助と一緒かー。
……うわぁ、大変なことになる予感しかしない。




「しかし、そっちはタダでもいいんですけど、こっちの子はね……なんせ、この容姿でしょ？」




宇髄さんが私の頬に触れる。
引っ叩いてやりたかったけど、我慢我慢。




「……そうだね、いいだろう。金は出すよ」
「ありがとうございます！」




え、何、高額で売られたってこと？私。
自分の容姿を評価されたからといって売られてちゃ喜んでいいのか……




「…野一色」
「！」




宇髄さんがスッと私の耳元に口を寄せる。




「猪子のこと、よく見張っとけよ」
「……わかってます」




小声で返事をすれば、「達者でな〜」と宇髄さんに送り出される。
隣の天星さんも、頑張ってくださいと言わんばかりに親指を立てていた。


そういえばさ、私、高額で売られたんだよね。
で、そのお金はきっと宇髄さんの元へ………

……後でお給金として宇髄さんから徴収しよ。

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