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醍醐の巻2 ページ7

「お前はこの世を知らなさすぎる
無知は時に人を殺す」

「はっ!そりゃあいい!死ねるなら本望だ!」


そう言ってやると、寿海は少し寂しそうな顔をした。

そんな顔を自分に今まで向けられることはなかったため、どう反応するのが正しいのかわからなかった。


「知れば、少しはAにとって経験にもなるだろう」

「……で、でも妖退治なんて自分には出来ない」


刀など持ったとこもない。

田畑を寿海の手伝いで、耕す時に使った鍬ぐらいしか…

そんな自分が旅を出来るとは到底思えなかった。

キャンプ場なんてこの時代にあるはずもない。
野宿が大体だろう。


「そう気負うことはない。百鬼丸は1人でも出来る
Aは百鬼丸を見守ってやるだけでいい
そこから、この世を知っていくんだ」

「…分かった」


そうして、今百鬼丸と共に峠を越え、もうすぐ町に着く頃。

気まずい。どうしようもなく気まずい。
休もうと提案しても、自分が立ち止まっても全く目もくれない。

このままで自分と百鬼丸は
ちゃんと旅を続けられるのだろうか。

不安でしかなかった。

俯いて歩いていると、ドンとぶつかる。


「いった…なに急に止まって」

「……」


何故かこちらを向く百鬼丸に、疑問を浮かべる。


「なんだよ」

「……」


しゃべられない、聞こえないじゃ詰んだも同然だ。

せめて指差しでもしてくれた方が助かるのに…

と思っていたら、腕を引っ張られた。


「…歩くのが遅いってか?悪かったね!」


そんなことがありながらも、町に行ってみると、思っていたよりか栄えており、人も案外賑わいをみせていた。
戦だなんだと言っていた寿海の言葉を、過剰に気にしすぎていたのかも知れない。


「まぁ、そんなに何度も戦があったって
何の得にもならないしね」

「……」

「うわっ百鬼丸
いつまで腕掴んでるつもりだ
おい、離せって」


Aの腕を全く離す気配のないまま、百鬼丸は進んでいく。

道を歩いていると、子供が落ちそうになっているのが見えた。


「あっ…うわっ!」


咄嗟に百鬼丸がその子供を助けたおかげで、自分は尻餅をつく羽目になった。


「すいませんねぇ」

「……」

「おっまえはぁー!!一言言ってから…
って言えないんだったな」


子供を助けたのちに、尻餅をついた自分の腕をまた握り、強制的に立たせ、引っ張っていく。

それにしても、さっき反対側が騒がしかったな。

巻き込まれないようにしないと。

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設定タグ:どろろ , 百鬼丸 , 女主人公   
作品ジャンル:泣ける話
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おはぎ(プロフ) - 名無し19389号さん» コメントありがとうございます!この秋にどろろを初めて見まして、どっぷりハマってしまいました!これからいろんな展開を見せていくので、引き続きよろしくお願いします! (2021年11月27日 15時) (レス) id: 04160e4038 (このIDを非表示/違反報告)
名無し19389号(プロフ) - てのさんのどろろの作品大好きです!!😭😭 (2021年11月26日 21時) (レス) @page13 id: 9c652c1e25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ての | 作者ホームページ:http://tenorishu  
作成日時:2021年11月14日 4時

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