少女の巻1 ページ1
目を開けた。おかしい何故自分は草むらに寝転んでいる。
死んだはずなのだ。死んだはずなのに。
痛みも意識が遠のく様子もない。
まさか……あんなところから落ちたのに。
なんて…不幸なことだ…!!なんて不運なのだ!!
生きていたってなんの意味もないのに!!
あぁ!!死ね!!死ね!!死ね!!
「死に損ないが!!死ねよ!!なんでっ!!なんでっ……
死なせてよ」
勝手に涙が流れる。
その度に生きていることを嫌にも実感させられる。
自分が死に損なったことに絶望しか感じなかった。
ここに寝転がったまま眠りにつき、息を引き取れはしないだろうかと考えが浮かんだ。
飢えて死ぬのはさぞ苦しいだろうが、3日の辛抱だ。
そうすれば、自分はもう生きていなくて済む。
ならその自然の摂理に従おう。
蛆虫に食われ、カラスに唾まれ、自然に戻って逝こう。
また、目を閉じた。
数時間経っただろうか……次に目覚めると見覚えの無い天井が見えた。
あぁ……助けられたのか…なんでこうも運が悪いのか…。
こうなってはもう起きるほかないと思い、ゆっくり身体を起こす。
あたりを見渡すとかなり質素な家だった。
インターネットなどまともに通ってなさそうだ。
自分にはあってもなくても変わらないのだが…スマホなどといった機械を持てるような生活など、そもそもできていなかった。
「お?起きたか?どうだ具合は」
手拭いで額の汗を拭きながら大柄な男がこちらを覗く。
こいつか。自分を死なせてくれずに迷惑にも助けたのは。
「原っぱに倒れてたから連れてきたんだ
その歳で1人ということは、親を亡くしたのか」
「……」
「……お腹が空いただろう
こっちへ来なさい」
このままここにいるのも確かに迷惑かと思い、その言葉通りにしようとした。
囲炉裏……実物は初めてみたな。
パチッと火の粉が舞う。
この炎で死ねないだろうかと思いながら立とうとすると、うまく立てずに転んだ。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、気を取り直して立ち上がろうとした。
その時気づいた。
自分の手が今までより随分と小さくなっていることに。
身体が小さくなっていることに。
知らない着物を着ていることに。
誰だこれは。自分ではあって自分ではない。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
「大丈夫か。足が痛むのか」
「っ!触わるな!!」
パシンッとその男の手を払った。
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おはぎ(プロフ) - 名無し19389号さん» コメントありがとうございます!この秋にどろろを初めて見まして、どっぷりハマってしまいました!これからいろんな展開を見せていくので、引き続きよろしくお願いします! (2021年11月27日 15時) (レス) id: 04160e4038 (このIDを非表示/違反報告)
名無し19389号(プロフ) - てのさんのどろろの作品大好きです!!😭😭 (2021年11月26日 21時) (レス) @page13 id: 9c652c1e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ての | 作者ホームページ:http://tenorishu
作成日時:2021年11月14日 4時