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少女の巻3 ページ3

「そんなはずない!確かに自分は屋上から飛び降りたんだ!

高い建造物があっただろう!?」

「生憎だが、ここにはそんな高い場所も家屋もない」


じゃあ、此処はどこなんだ。

自分は一体どこにいるというのだ。


「まぁ、混乱しているのだろう
戦も近くであったと聞く」

「…は?戦?戦争が起きてるのか?
第三次世界大戦でも起こったのか?」

「…何を言っているんだ…世界大戦?
今は室町だぞ…日本での戦なんて日常だろう」


日本……戦……室町

じゃあ…自分は令和から過去の室町に来たというのか?

笑えない冗談だ。

冗談をつくにしても、もっとマシなものがあるだろう。


「おかしい…自分が死んだのは令和だ
過去に戻るなんてあり得ない
冗談を言っているな」

「今話していることは冗談でもなんでもない」


……頭がパンクしそうだ。

これが現実…来世ではなく前世に戻ってきたのか。

あぁ…笑えない…笑えなさすぎて、逆に笑えてくる。


「ははは…そうかそうか…

でもありがたい……こっちの方が死ぬには好都合だ」

「お前さん…死ぬつもりなのか」

「言ったよ…死にたかったって」

「……止めはしないさ…わしも死にたがりの端くれだ
だが、今夜はやめてくれないか
さぁ、食べなさい冷めてしまう」

「……いただきます」


確かにわざわざ用意したものを頂かないのは、流石に失礼だ。

そうだ明日になって出て行って死ねばいい。

今日じゃなくても、明日でいい。

いつぶりの食べ物だろう…。
生きていたときもまともな食事なんて、ないに等しかったのに。

一口食べた。

……正直言って不味いし、嗚咽で吐き出しそうになった。
でも、温かくて優しくて美味しかった。
また涙が溢れてきた。

こんなに不味いのに美味しいと思うほど、自分は弱っていたのだと感じた。


「ゆっくり食べなさい」

「……A…あしっ……A」


自分の苗字である足利を名乗ろうとしてやめた。

確か……室町で勢力の強い奴だった気がする。

歴史の時によくいじられという名の

いじめを受けた記憶がある。

思い出してもなんとも幼稚なことだ。笑えてしまう。

同じ苗字だからといって強いはずもないのに。


「そうか、A…いい名だ」

「……そう」

「ああ、本当にいい名だ」


初めて言われた。

まだ出会って数分しか経たない男に…こんなに親しみを覚えるのは何故だろうか。

前世だからだろうか。

そんなはずないのに。

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設定タグ:どろろ , 百鬼丸 , 女主人公   
作品ジャンル:泣ける話
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おはぎ(プロフ) - 名無し19389号さん» コメントありがとうございます!この秋にどろろを初めて見まして、どっぷりハマってしまいました!これからいろんな展開を見せていくので、引き続きよろしくお願いします! (2021年11月27日 15時) (レス) id: 04160e4038 (このIDを非表示/違反報告)
名無し19389号(プロフ) - てのさんのどろろの作品大好きです!!😭😭 (2021年11月26日 21時) (レス) @page13 id: 9c652c1e25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ての | 作者ホームページ:http://tenorishu  
作成日時:2021年11月14日 4時

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