魂たち ページ39
ふと月の光が
彼の姿を照らす
キラッと、彼の金髪が
月の光で照らされる
私は、穏やかにその人を見て
「・・・貴方の復讐はもう
終わったよ
それでも、私の心の中に
留まり続ける理由は
いったい、何?」
彼は驚いた顔をした後に
私から目をそらして
暗く、月が反射している海を
眺めながら言った
「・・・わからない
真と夢の魂にお前を守るように
言われた影響もあるかもな
復讐を果たすために
生き残った、俺の魂は
いつの間にか2つに
分かれてしまった
今、お前の目の前にいるのは
お前を守りたいという
俺の魂だ」
彼はふっと後ろを振り返った
私もつられて振り返ると
そこには見たことがない
黒く、ドロドロした人影が
立ち尽くしていた
「あれは・・・?」
「・・・俺の、片方の魂だ
復讐を果たすための魂」
耳を澄ますと
地獄の響きのような声が
人影から聞こえた
『殺せ、殺せよ
まだ一人
天竜人は残ってるだろ
なんで殺さない
憎め、恨め、決して許すな
復讐の為に
すべてを犠牲にすると
約束しただろう、己と』
彼は無言のまま
その人影を見つめている
『俺が殺した魂たちは
あいつらの完全な滅亡を
望んでいるんだぞ!
何のために全国民
殺したと思っている!!?
母も!!弟や妹も!!
いったい何のために死んだ!!
その意味はすべて
お前に託されているんだぞ!!!
駄々をこねるな!運命を受け入れろ!!
その女を乗っ取れ!!!!
復讐のために命を救ったんだろう!!』
「違う」
彼ははっきりと、真っすぐと
人影を見て言い放った
そしてゆっくりと彼は
人影に近づいていく
「俺は・・・思い出したんだ・・
Aが産まれるときに
人の命の尊さと、その輝きを
・・・人を守りたいという思いも」
そして彼は人影の前で
ぴたりと歩みを止めた
「俺の、俺たちの真の目的もな」
彼は人影を優しく抱きしめて
諭すような穏やかな声色で言った
「俺たちの、真の目的は
復讐なんかじゃない・・・
そうだろう、みんな」
彼が、みんな、と呼ぶと
周りに無数の光が集まりだした
そして気のせいなのだろうか
声も聞こえてきた
透き通っていて綺麗な声が
『私たちの願いは』
『『私たちの名前を来世へ受け継ぐこと』』
『ごめんね』
『ごめんなさい』
『君一人に、すべてを背負わせた』
『君が私たちの名前を
すべて覚えきる代わりに』
『君は自分の名前を失った』
『そのせいで、君は
自分を失った』
『ずっと君に、謝りたかった』
110人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弱音ハクはオレの嫁(プロフ) - 大団円のラストに感動しました!最高の作品を生み出して下さりありがとうございます!! (2021年3月21日 5時) (レス) id: ccc8b6f347 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - すごく面白いです!続きが凄く気になります。続きを楽しみにしています((o(´▽`)o))ワクワク (2020年4月3日 16時) (レス) id: 4b272e00cb (このIDを非表示/違反報告)
不死鳥好き - お話面白いかったです!続き待ってます!(*´∀`) (2020年2月9日 7時) (レス) id: c77edd7d0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ロモォコ | 作成日時:2019年12月11日 22時