【オリジナル】十二天物語 (ページ23)

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二十二頁目ページ23

出雲「すごいよ、杉川さん。初めての修羅場で一発で力を使いこなして、真っ先に操り主のアスラを封じ込めるなんて。・・・ってどうしたの？」

ひたすら真を褒めていた出雲の言葉が途切れる。

しかし、“どうしたの？”と聞かれても答えられない

――要するに真は腰が抜けていたのである。

出雲「どうしたの？もしかして腰でも抜けた？」
真(分かってるなら聞くな！)

出来ることなら声を大にして喚きたかったが、それを言うのは負けを認めるようでイヤだった。

真「・・・なんでもない」

かろうじてそこまで言って気づく。
出雲の目が黒から赤に変わっていることに。

真「その目と剣、どうしたの？あと、アスラって何？」

ついでに気になっていたことも聞いておく。
質問された出雲は、ああ、というように頷く。

出雲「杉川さんの考えてるとおり、これは僕の秘宝で創った剣だよ」

ごめん、何も考えてない
なんとなく居心地が悪い真に構わず、出雲は滔々と続ける

出雲「僕の秘宝はブラッドストーンで、だから真っ黒なんだ。

それに瞳の色はこうやって力を使っているときは自然に赤くなる

・・・できるだけ、前世の姿に近くなるようにしているのだろう。

だから今杉川さんの瞳も普段の黒じゃなくて紫色になっている。」
真「へぇ・・・？」
出雲「鏡を見れば一目瞭然だよ。

で、アスラっていうのは簡単に言えばさっきみたいに人を操って襲わせたり、人に取り憑いて襲ったりする奴のことだ。

長い間ほっとくと操られた人は人間であることを忘れて、人を襲うようになる。

そうならないためには僕がこの剣で倒して、これ以上犠牲者が出ないようにするか、杉川さんがアスラだけを封印して操られた人を助けるしかない。」

淡々とした口調であったが、真はあえて出雲が生々しい言い方を避けていることに気づいた。

出雲の場合、倒すのではなく実際に操られた人ごと殺してしまうのだろう

そうでなければ、戦いの途中に見えたあの顔の説明がつかない

だからこそ、出雲は人を殺さないでアスラだけを封印できる真を探していたのだろう。