８１振り目 ページ41
そのまま昼が過ぎて夜になりました。
若様はいつの間にか優しい顔で笑っていて、僕達の頭を撫でてくれました。
『さて、そろそろ大部屋に行こう。昼餉に行かなかったからみんなきっと心配してるよ』
「若様...大丈夫ですか?」
僕が立ち上がろうとした若様の着物の裾を握った。
何だか...無理をしているように見えたから。
でも若様は
『大丈夫、お前が...』
何かを言いかけて、それを呑み込んで
『"前田"が来てくれたからもう、大丈夫』
「若様...!僕の、名前...!!」
優しい声の名前が響く。
昔は毎日感じた喜び。
慣れた呼び捨てでも、彼が呼ぶなら嬉しく思うなんて当たり前で
いつからか優しい声の愛称はただの名前になってしまった。
でもそれは
『今まで遠ざけてごめん』
それは彼が心閉ざしてしまっても伝る、
僕達に向けた切ない大好き。
失うのが怖くなって、僕達への罪悪感が産まれて、ごめんねと一緒に僕達を傷つけないように突きつけた。
「いいんです。貴方様が笑ってくれるなら...」
『!...そっか』
ふわり。
そんな音がぴったりな笑顔が零れた。
「ねえ若!!僕のことも呼んでよ!!」
若様の後ろから抱きついていた乱が声をかける
『ははっ、いいよ。...乱』
「なあに?若!」
「僕も呼んでほしいです...」
『うん、秋田』
「えへへ...」
嬉しそうにみんなが笑った。
ああ、これだけで幸せなんて貴方様がいなきゃ一生わからなかった。
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真雷(プロフ) - れんさん» 長文で丁寧に感想を書いて下さり本当に嬉しいです!!!そんな風に何かを大切にしようと思って貰えるとは…。この小説を書いてて良かったなと思うことが出来ました(´∀`)ゆっくり亀スピードですが頑張って書くのでよろしくお願いします! (2018年3月31日 12時) (
レス) id: 9e8cdb3667 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - と思いました。とても胸が苦しくなる作品でしたがとても素敵な作品でした。改めて一期一振が大好きになりました。ありがとうございます。 (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 一期一振ガチ勢の私には悲しすぎる展開でした。1振り目の一期一振の思いと2振り目の一期一振の思いが交差して悲しい連鎖を生み出す。最終的に1振り目の一期一振ではなく2振り目の一期一振と共に歩む主の姿。この小説を通して改めて自分の本丸の1振り1振りを大事にしよう (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
郷羅 - 嗚呼､、素晴らしい作品に出会った!ありがとうございます！一日中ずっと泣けました! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 92b69bfb4a (このIDを非表示/違反報告)
真雷(プロフ) - 彼方さん» 続編出来ました！おまたせしましたああ！ (2017年9月28日 19時) (レス) id: 06a076d6f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真雷 | 作成日時：2017年1月22日 19時
