【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ6)

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＃02 ページ6

「あ、あぁ。わかった」

エルヴィンの言葉を背に受けながら立ち去ろうとするジゼルを逃すまいと、髪へ手を伸ばす。
すると、それを察知していたようにジゼルは身を横へずらし、さらには、俺の足を払おうとしてきやがった。
その動作は、俺が咄嗟に身を引いたために空振りに終わったが、クソガキは、俺を鋭く睨め付け

「これ以上。私に触れるな」
「チッ」

その言葉と俺の舌打ちは、ほぼ同時だった。

　 ***

何だったのだ、あの男は……。
特段、あの男に突っかかる理由などはなかった。無い筈だった。
しかし、あの顔は私に何か不愉快なことを思い起こさせる顔で、どうしても憤りを抑えられなかったのだ。

「ハァ。……これは後でエルヴィンに小言を食らうな。
……リヴァイとか言ったか、益々気に食わない」

兵舎の外へ足をのばし、行く当てもなく歩く。
本来であれば本部へ戻り、先程までの続きに手を付けなければならないところではあるが…。
珍しくその気分になれず、ふらりと歩いた先で見つけた木の下に腰を落ち着けた。
程よく私の体を温める心地よい日の光は、つかの間の私の休憩時間を存分に楽しませた。

そうして、知らぬ間に、ゆったりと私を夢の中へと誘っていく。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

これは夢か。
それを自覚するのに、そう時間はかからなかった。

狭くて、汚い私の街。相変わらず空気の悪い、地下街＿＿＿。

ぼぅっとしていると、誰かに髪を鷲掴みにされる。
この夢は……。

「今日は結構な上玉を拾ったなぁ」

「あぁ、これならしばらく食つなぐ分の金は入るだろうさ
まぁ、コイツがもう少し大人だったら、ますます値が張っただろうがな」

上玉?お金?何のことだ。
あぁ、そうか、この男たちは身売りか。
最後まで、自力で地上へ出ることは叶わぬままか、買われる先で見る空はどんなだろうな。
一瞬の間に、私はそう遠くない未来へ思いを馳せる。

「でもよォ兄貴…」

兄貴と呼ばれた男は、言わんとすることを察知したのか、首を横に振った。

「ダメだぞ。売りモンに傷をつけちまったら、値が下がる」

「チッ…つまんねぇな」

諦めた男は私を部屋の隅へ放り投げる。
背中で鈍い音が鳴るが、これからを考えたら、そんな痛みは眼中にも入らない。
どこに焦点を結ぶでもなく、ぼぅっとしていると、頭上斜め上あたりで、扉が勢いよく開いた音がした。