【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ37)

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＃33 ページ37

「いえ、そこまでひどくはないので、結構です」

「何かあってからじゃ遅いだろうが」

「本当に大丈夫ですので、起こしたことは謝りますから、早く寝ましょう」

本当はあまり大丈夫ではないが、ハンジを呼ぶと、エルヴィンまで出てきかねないので、平静を装いながらリヴァイ兵長に訴えると、大きくため息をつかれた。

私の訴えを聞き入れるか、聞き入れずにハンジのもとに行くか決めかねているのだろう。
少しの沈黙が続いた後、リヴァイ兵長は小さくうなずくと

「仕方ねぇ。黙っててほしい理由があるらしいな。
……こっちに来い」

「………え?」

腕を引っ張られ無理やり立たされると、私のマットを自分のベッドまで持っていく兵長。
元々ダブルのベッドなのだろう、兵長のと私のマット2枚をひくと、ベッドの幅にぴったりはまった。

「早く寝るんだろ。ぼさっとしてるな。寝るぞ」

「いや、早く寝ましょうとは言いましたが……なぜ一緒のベッドで?」

「俺じゃ不満だろうが、俺のすぐ横に居りゃ今より体調が悪くなったときすぐわかるだろ。
……それに、具合が悪い時は、人肌がすぐそばにあるに限る」

「………それは、命令ですか」

そう聞くと、私をまっすぐ見た後、顎でベッドを指した。
「言わせるな」ということらしい。

「大丈夫だ、クソガキに興味などない。
ましてや病人に手を出すほど飢えてねぇよ」

「そういう意味ではないのですが……」

「面倒くせぇ、さっさと寝ろ」

先にベッドに寝っ転がってしまったリヴァイ兵長を見ながら、小さく息をつくと、私は「失礼します」と兵長に背を向ける形で寝っ転がった。

相変わらず頭はガンガン痛い。そのせいで吐き気まで押し寄せてくるから厄介だ。

だが、触れられる位置に人肌を感じる安心感は大きかった。
しかも、さっきより気が楽になったのがわかる。

「………ありがとうございます」

「……寝られそうか」

「……おかげさまで」

「……そうか」

それきり会話は途絶えたが、それでも、沈黙による気まずさなどどこにもなかった。
むしろ、人といてこんなに居心地がいいと感じたのは随分と久しぶりだ。