＃26 ページ30
まただ。
無理だと思う私の気持ちに偽りはない。
しかし、せっかく、私を部分的にでも認めてくれていた人を失望させた。
また1つ……居場所がなくなった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿そう思ってるのはお前だけで、お前の居場所なんてないんじゃないか。
心の誰かが私にそう声をかける。
それも、そうか……私には最初から居場所なんて＿＿＿＿＿＿。
「チッ、わかった………そのガキ、俺が引き受ける。
部下は俺が決めていいんだろエルヴィン」
「あぁ、前言を撤回するつもりはない」
「なら、俺の小姓につけてやる。光栄に思え、ガキ。
俺がお前に責任感を持たせてやる。
俺もとで存分に能力を発揮しろ」
「だそうだ。ジゼル、それなら引き受けるだろう」
「あ、あぁ。……それなら」
私が覚えていたのはそこまでで、あとはずっと呆然としていた。
私に失望したはずじゃないのか?
私なんかを最初の部下に選んでいいのか?
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
エルヴィンの「あの時」がなんなのか気にならなくはないが、今のコイツに聞いたところで無駄だろう。
何より、責任感がないなら、責任感の持てる人間にするだけだ。
まぁ、アイツにはそれなりの責任感はあるんだろう。いつだって仕事は最後まで全うしているし、壁外ではたくさんの仲間を救っている。
おそらく、目に見える形で責任がのしかかるのが怖いだけだ。
それに、面倒ではあるが、俺はコイツを引き上げると決めたんだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿やってやろうじゃねぇか。わがままなクソガキが。覚悟しやがれ。
***
数日後、エルヴィンの言う通り、俺は兵士長になり、個室が与えられた。
そのついでに、ガキの部屋を俺の部屋の隣に移し、こき使い易くする。
今日は新しく与えられた部屋で、エルヴィンに渡された仕事の山に改めて舌打ちをせずにはいられなかった。
＿＿＿＿＿クソ。ここまで忙しいとは聞いてねぇぞ。
部屋は最初からきれいに掃除され、配置はすべてジゼルが済ませていた。
仕事の山も、資料と書類をそれぞれ小分けにされ、軽く説明を受けただけですぐに仕事に手を付けることが出来そうだった。
ジゼルから説明を受けるのは若干屈辱ではあるが、人間には得手不得手がある。
単純に俺がデスクワークが嫌いなだけだ。
「リヴァイ兵長、失礼します」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ああ - 名前が反映されません (2023年4月4日 3時) (
レス) id: 8d7dc1031f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：clear | 作成日時：2017年5月5日 21時
