【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ25)

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＃21 ページ25

「ここだ」

腕を引っ張られながらついていくと、不意にその背中が止まる。
思わず軽くリヴァイの背中にぶつかってしまったが、本人はそれを気にした様子もなく、また私の腕を引っ張って、店の中に入っていった。

「……あの、ここはどこでしょうか…」

「…見てわかるだろ、茶を飲む場所だ」

「はぁ…」

私が聞きたいのはなぜこんな場所に私を連れてくるかなのだが…。
エルヴィンも昔は私を街に連れ出そうとしたが、毎回迷子になり探すのも大変で、私がすぐに人ごみに酔うため、こんな店に入ったことは記憶の限り一度もない。

「不満か?」

「……いえ、不満というよりは、なぜ私なのか、と思いまして」

「掃除の礼だ。好きなものを頼め」

好きなもの…と言われても……なんだかよくわからない文字の羅列が並んでいる…。
どれが何なんだ……。どれがお茶で、どれがコーヒーなのかはわかるが…。

私はあきらめて、メニュー票を置く。

「……リヴァイ殿のおすすめのものにします」

「?……わかったが、いいのか?」

「はい。私にはよくわからないので」

そういうと、私は窓の外へ視線を向けた。
見えるのは、建物と人、ばかり……。

しばらく待っていると、いい匂いの紅茶が運ばれてきた。
私のところに置かれたのは、赤みが強い紅茶でリヴァイの手元の紅茶は、濃いめの紅色だった。

「……きれいな色ですね。…いい香り」

「気に入ったならよかった」

香りを楽しんでいると、私の前にお菓子が置かれた。
運んできた店員の顔を見ると「アップルパイです」と笑顔で答える。

次にリヴァイの顔を見ると平然な顔をして紅茶を飲んでいる。
スタスタ歩き去っていく店員を呼び止める暇もなく、私は焦った。

「あの……これ…」

「礼だと言ったろう。お前が俺に任せると言ったから付けてやった」

「そんな…申し訳ないですよ」

「気にする必要はない。…申し訳ないと思うなら、味わって食え」

「は、はい」

とりあえず、紅茶を一口飲むと、口の中にふわりとローズの香りが広がって、上品な甘さが舌全体を包み込んだ。

「……うわ……美味しい。甘いですね…バラのいい香り」

「それが特徴の茶だ」

「リヴァイ殿のは何という紅茶なんですか?
私とは、色も香りも全然違いますよね」

「俺のは、ニルギリだ…」

私が興味深そうに見つめているのが気になったのか、リヴァイは私のほうにティーカップをずいっと押し出してきた。