【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ32)

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＃28 ページ32

「なんだ」

私は、息を大きく吸い込む。
嫌な汗が背中に伝う。

少し迷って、それでも私は口を開いた。

「それは……私を………少しでも認めていただいたということで……よろしいのでしょうか。
…………貴方から………生きる……き、許可を…いただいた……そう……自惚れても……いいのでしょうか……」

私はすがるようにリヴァイ兵長を見つめる。
しかし、言葉を言い終わる前には、どうにも自信が無くなって、結局、深く俯いた。

兵長の腕が上がったのが視界の隅にかすかに見えて、思わず肩をすくめた。
だが兵長のとった行動は私の予想を超えるもので＿＿＿＿＿。

兵長は私の頭を掻き交ぜるように撫でる。
一緒にお茶を飲みにつれだしてもらった時も、私がお金を払わなくていいのかと食い下がったとき、「しつこい」と頭をガシガシ撫でられた。

今回のコレも、「しつこい、いわせるな」という意味だと、肯定的に受け取ってもいのだろうか。

「俺が、エルヴィンに言ったお前の評価を聞いていなかったのか。ジゼル。
本当にお前はクソガキだ。自信を持て、お前を認めている奴は俺以外にもいるだろう。

生きてる許可なんて、必要ない。
人間はな、何かがあって死ぬまで生き続けなきゃならない。それが、生を受けた側の義務だ。
俺の前で、勝手に一人で死ぬのは、誰であっても認めねぇ、それだけだ」

「はい…ッ」

熱いものがこみ上げてくるのを必死にこらえる。
兵長は私の頭を最後に軽くポンポンと叩くと「顔を上げろ」と言った。

何だろうと思って、顔を上げると、

「悪くない」

と優しく笑った。

「リヴァイ兵長も、笑うことがあるんですね…」

「テメェ、俺をなんだと思ってる」

「たまに、いや…頻繁に暴力を振るってくる上司です。
………たまに、すごくやさしいですけど」

兵長は真顔で私の頭を叩く。
痛かったけれど、なんだかおかしくて、なんだか笑ってしまった。

「………テメェこそ笑うことがあるんだな。そっちのほうが心底意外だ」

「なんですか、それは、ひどい言いようですね」

「不満か」

「ええ、大いに」

そういって顔を向かい合わせる。
目の前の兵長が、フッっと不敵に笑う。

きっと私も同じ顔だ。