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146話 祭りのあと ページ10

全然声がしなかったので、てっきり奏恵だけがここに来たのかと思っていた。
私は立ち上がって、3年生に頭を下げる。


貴「ご卒業、おめでとうございます!」

菊「ありがとー!」

英二先輩を筆頭に、みんながそれぞれお礼を言ってくれる。

奏「Aに一通り終わったよって連絡しようと思ったら、皆さんがこっちまで一緒に来てくれるっていうから」

河「まあ、早く帰ろうとしないと、ほかの子たちもなかなか帰りづらいしね」

奏恵の言葉に、河村先輩は優しくフォローをいれる。私と奏恵が同時にお礼を言うと、河村先輩は「いやいや」と手を振った。

貴「確かにすごい人でしたよね。全校生徒いたんじゃないですか」

大「まさかあんなに集まってくれるとは思わなくて、なんか変に緊張しちゃったよ」

菊「確かに! 大石最初サーブ外しちゃったもんね」

英二先輩の言葉に、大石先輩が恥ずかしそうに坊主頭を撫でる。

桃「でもそのあとはさすがでしたね!」
菊「まあね!」

桃の言葉に、英二先輩が胸を張る。当の大石先輩はまだ照れていた。

奏「私、目の前で乾先輩のサーブ見たんですけど、ほんとに速いですね」
乾「さらなる速度アップを目指して研究中だ」

乾先輩が人差し指で眼鏡をクイッと上げる。その時にちらりと海堂を見て、それに触発された海堂が、息を荒く「次は勝ちます」と宣言した。


盛り上がる会話の中で、ふといつまでたっても背の小さい存在感が戻っていないことに気が付き、私は弓道場を振り返る。

貴「うおっ」
越「ちっす」

私の真横にいた。
こいつとは10センチくらい差があるから微妙に気付かなかった。

越前は帽子のつばを片手で少し上げて挨拶をする。

貴「お前、ここ居る時くらい帽子取れよ」
越「あ、やっぱダメっすか」
貴「基本的にはな。弓道はマナー厳しい人多いから、見つかると面倒」
越「ういーす」

間延びした声で返事をすると、珍しく素直に帽子を取った。

貴「見学もういいのか?」
越「うっす。壊したらいやだし」
貴「ははっ、別に大丈夫だと思うけどな」
越「神棚とかマジであるんすね」
貴「一応、練習始まる前は必ず水替えて、掃除して、挨拶してからやるぞ」
越「めんどくさ」
貴「お前らがコート整備すんのと同じだよ」

心底そう思っていそうな越前の声に、笑いながら釈明する。私も昔はそう思っていたから、完全に怒り切れないのだ。今でも疲れているときはたまに「面倒だな」と思ってしまうこともある。

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設定タグ:テニプリ , 不二周助 , 葉奈   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2022年8月26日 17時

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