【テニスの王子様】遠回しな君の隣５【不二周助】完結 (ページ9)

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145話　共通点ページ9

こうして、この人たちのテニスを見るのも久しぶりだった。

私はオーストラリアまでは応援に行けなかったので、みんながどんな経験をしてきたのか、言葉だけではわかりきっていないところがたくさんあった。

特に、代表として試合に出ていた、手塚先輩、不二先輩、大石先輩、越前は、顔つきも変わっていて、さすがに世界を経験するといろいろな変化があるのかと驚いた。

順番に試合を行い、時刻は16時過ぎ。夕日が建物の影に隠れ、空が藍色に染まってくるころ、ようやくすべての試合が終わり、テニスコートからは割れんばかりの拍手が起こった。

まばらに男子生徒が散っていく中で、女子たちは遠慮がちに、しかし粘りに粘って3年生とのやり取りを楽しみ帰宅していく。

私も奏恵に付き合って、集団から少し離れたフェンスに寄りかかってその様子を見ていたのだが、試合を見ている間からうずうずしていた気持ちがそろそろ限界だったので、奏恵に『弓道場にいる。男テニの人に挨拶したいから、帰る時教えて』と連絡してその場から離れた。

さすがに袴に着替えるのは面倒なので、制服の上だけTシャツに着替えて弓や的の準備をする。もともと今日は1人で自主練する予定だったので、もろもろ無駄にならなくてよかった。

昨日とは違う静寂が体を心地よく包んでいた。緊張感のない、リラックスした状態の射は、面白いくらいにうまくいく。立になると途端に別の場所のようになってしまうのに、本当に不思議だ。

弓を引き、矢取りをして、また弓を引く、というのを4回ほど繰り返し、5回目の矢取りのタイミングで、弓道場の外から私を呼ぶ声がした。

奏恵の声だとすぐにわかったので、矢尻を拭くのをやめ、矢道から顔を出した。

向こうもすぐに気が付き入口に回ったので、私は矢尻拭きに戻り、ついでに的を外して安土を整えて射場に戻った。
矢立てに矢をしまったタイミングで、入口ががらりと開いた。

貴「奏恵、遅かったな」

そう声をかけて振り返って、私の動作は固まる。奏恵は笑みを絶やさず手を振っている。

「やっほー！」

貴「英二先輩、皆さんも！」

入口には、3年生の元レギュラーメンバーが立っていた。
ついでに奥に桃と海堂がいて、越前はするっと猫のように間をすり抜けて、「初めて入った」と弓道場の中をうろうろしている。