ぬくもり2 (ページ18)

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あの日のこと5 ページ18

照side

「照さん。」

どこからともなく聞こえたその声に、辺りを見回す。

照「あっ…」

遠くのほうから走ってきた男の子は、

さっきAの病室で会ったソラくんだった。

そうか、夢で会いに来るってAが言ってたな。

照「ソラくんだよね？」

ソラ「はい。

さっきはありがとうございました。」

照「ううん、俺も知れてよかったよ。」

ソラくんはゆっくり歩いてきて俺の隣に立った。

それからあの時Aが話さなかった詳しいことも教えてくれた。

脱線事故の時、Aを真ん中にしていたソラくんとお父さんは、

咄嗟に両側からAを守ったらしい。

その結果、お父さんは即死で、

ソラくんも意識が戻ることなくその日の夜に亡くなった。

1人助かったAは、お母さんから何度も責められたんだって。

ソラ「お母様は、小さいころから僕とAの接し方にすごく差があったんです。

今でもお母様はあの日のことをAのせいにしてて…」

照「あっ・・・だからあの日…」

この前2人で出かけたとき、踏切が近くにあって、たまたま電車が通った。

一瞬だったけど、その時Aが苦しそうな顔をしてたような。

ソラ「Aは電車に今でも乗れません。

あれでも、見るのは平気になったほうなんです。」

ソラくんから告げられるAの過去。

ソラ「A、もっともっといろいろ抱えてるんだと思います。

これからAのことお願いします。」

照「もちろん。ソラくんもまた会いに来てよ。

夢なら話せるし、俺もソラくんと仲良くなりたいな。

敬語もいいよ？あと、ひーくんって呼んでくれると嬉しいなぁ。」

ソラ「ふふっ、うん。

また来るね。ひーくんまたねぇ。」

笑顔で手を振りながら消えてったソラくん。

あの子だってきっと、いろんなこと抱えてるんだろうな。

俺と話すことで少しでも楽しいって、安心するって思ってくれたらいいな。

Aと同じように、ソラくんも大事な弟なんだから。