数学サタデイ【スピンオフ】～Winter’s Tale～ (ページ10)

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乗法(2) ページ10

「うん、美味しいこれ」

面倒になった私は食事に専念することにした。

「、、、ねぇ、あの数学教師と言えないほどヤバイ関係なの？」

パクチャニョルがにんまりと笑って言った。

「しつこいな、惚気ないって言ってるでしょ、言いたくないの！先生もこいつをなんとかしてくださいよ。」

「いや、でもなんでそんなに頑ななんだ？女子大生なんて年中恋バナしてるイメージだけどな。」

味方を失った私は仕方なく口を開く。

「そりゃ惚気話くらいありますよ、行ったお店とか貰ったものとか、言われたこととか。でもそういうのって私は他の人に知られたくないの。」

「、、、2人だけが知ってるのがいいの、」

私は自分で言っていて恥ずかしくなって顔を伏せた。

「うわ、、、先生今の聞いた？誰よりも甘ったるいこと言ったよね？」

パクチャニョルは相変わらずのテンションで目を白黒させている。

それに対しルゥハンはなんとも言えない顔でグラスを飲んだ。

「いや、その、、、ぶっ、」

そうして何か言いたげに口籠ると、カルーアミルクを吹き出した。

汚ったな！と驚く私たち。
ルゥハンは咽せ終わるとふぅ、と息をつき、テーブルを拭いた。

そこまで笑わなくてもいいじゃない、私はルゥハンを睨みつける。

「いや、その、非常に言いにくいんだけど、めちゃくちゃ詳しく話してるよ、ジュンミョン、」

「え？」

さっきまで恥ずかしくて火照っていた顔が一気に冷静になった。

「今どんなカンジなのかとか全部聞いてる。なんなら今年のクリスマスのデートプランまで俺には筒抜けだぞ」

口を開いたまま固まる私を見て、アホチャニョルが嬉しそうに笑いを殺している。

「絶対許さないなんなのそれ、」

今度はさっきとは別の恥ずかしさがこみ上げてきてここから消えたくなった。

「ていうか！2人そんなに親密なの！」

「え？A知らない？月2くらいでここでのんでるんだけど、いつもAとの話してるよあいつ。本当に一から十までぜーんぶ」

「そんなの聞いてない！」

「あーあ、ルゥハン先生やっちゃったなこれは」

呑気なパクチャニョルはクスクス笑っている。

私はルゥハンの手元のグラスを一気に飲み干した。

「あー、ちょっとAお前19だろ、やめろよ俺の教員免許が剥奪されかねないだろ！」

とにかく恥ずかしいという気持ちで満たされて拗らせている私、まさに抱腹絶倒なパクチャニョルに、焦るルゥハン。

今年も平和にすぎて行く。