ようこそ、小さなお客様/em,ut ver. ページ38
今回は6ver.更新後、閑話休題へ入ります
少女は目が覚めると、動物園と思わしき場所に1人で立っていた。自分や家族、友人の名前は分かるのに、記憶があやふやだ。何も分からない恐怖心があるが、とにかく歩くことにした。
歩き始めて1分ほど経った頃、少女は檻があるのを発見した。ゾウが暮らせるくらい、大きな檻。1番近くの檻の中にいるのは…人、なのだろうか？とりあえず近寄ると、その檻の中から声をかけられた。
人がいる、という安心感は"何故檻の中に人がいるのか"という疑問をかき消した。
「お嬢さん、危ないから檻に近寄ったらあかんよ〜」
『？……だれ？』
「……僕？僕は鬱って言います〜」
小首を傾げてこちらを見たのは、深海のように青い瞳の男性。その瞳は寂しげで空虚だった。彼は檻の隙間から腕を出すと、そっと私の手を握ってくれた。人とは思えないくらい冷たくて……気持ちいい手。
『私はA。お兄さん、独りぼっちなの？』
「独りぼっち……ではないなぁ。僕には仲間がおるから……寂しくなんかあらへん」
『そっか…』
「せや……他のところに行きたい？」
『……怖い』
「それなら慣れるまでここにおるとええよ」
─少女は気付かない。自分が何故ここに来たのか、自分は生きているのかどうかを忘れてしまっていることを。
「大先生、様子を見にき……おや、その方は？」
「あ、エミさん！この子は俺のお客様〜」
「ふふ、随分懐いてますね。おっと、自己紹介を忘れてました。私はエーミールです」
「エミさんは僕のお世話係。僕自身はここから出られへんから、ご飯や欲しいものを持ってきてくれるんやで！」
「…あ、そうでした。体調面で少しお話が」
「ごめんなぁ、少しだけ待っててな？」
『うん』
─
「…大先生、彼女をどうするつもりですか？」
「どうって…勿論、逃がさへんよ？僕みたいな青の目で、エミさんみたいな茶色の髪……そんでもって純粋すぎる魂。こんなん十分すぎるわ」
「では、彼女を私たちのものにしましょう」
─
少女は2人が戻ってきたことに気付き笑顔を向ける。2人はそんな彼女に微笑む。
次の瞬間、少女は意識を失い………その首には茶色い革に青い蝶の飾りが付いた首輪が付いていた。
首輪─それはすなわち独占の証。その領域からは出られず、檻の中に入った人もどきとそれを使役する人に飼われるんだってさ。
ようこそ、小さなお客様/sha,kn ver.→←翡翠の契は闇の中で/zm
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しぃりん(プロフ) - イカの化身さん» ありがとうございますー！誤字、直しておきますね………((( (2021年10月25日 11時) (
レス) id: 40e91cb810 (このIDを非表示/違反報告)
イカの化身(プロフ) - あ、あと私ごとなのですが、誤字？らしきものを見つけまして…お時間あればお直しお願いしたいです…！両親や先生から期待される優等生、それが私だらしい。の所です！！！更新、体調崩さず頑張って下さい。 (2021年10月25日 1時) (レス) id: a0117cd36a (このIDを非表示/違反報告)
イカの化身(プロフ) - はじめまして！しぃりんさんのd!この短編集めっちゃ好きです！！！！もうとくにメンバーの口調とかすごい掴んでて'''！！！もう""好きです"" (2021年10月25日 1時) (レス) @page1 id: a0117cd36a (このIDを非表示/違反報告)
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