[文スト]兄、姉達は妹が大好きなようです[短編集]

＊ ページ41

Aside


何処かから、私を呼ぶ声がした

泣きそうで、今にも崩れそうな気弱な声


「Aっ……お願い…私を、おいていかないで」


「おに、い…ちゃん…」


鉛みたいに重い腕を動かして、お兄ちゃんの手と重ねた

死ぬって、いいものじゃないね…

私、今ね…お兄ちゃんと出会わなければ良かったてちょっぴり思うの

だって、死にたくないって思いながら死ぬのって嫌だなぁ…


でも、お兄ちゃんが私のお兄ちゃんで良かったって思ってもいるんだよ

だって、私の事をこんなに好きでいてくれるお兄ちゃんの妹なんだもん

私は、世界一幸せな貴方の妹だよ


「おに、ぃちゃん……だ、い…すき…だよ…」



ーー
太宰side


「おに、ぃちゃん……だ、い…すき…だよ…」


涙で全てぼやけてしまった私の目にはうっすらと微笑むAがいた

無情にも、終わりを告げる機械音が鳴り響いた


悲しい、苦しい、寂しい、辛い、感情が混ざり合ってもう、涙を流す事しか出来なかった

抜け殻のような私に、Aの声が聞こえた
きっと、この青空から君が見ているのだね

『笑って…大好きだよお兄ちゃん』

きっと、ぎこちないけど口角を上げて笑ってみせた


「ありがとう…私も大好きだ」


子供の頃、悪い夢を見ない様にとおでこに口づけをしていた

どうか、安らかに眠ってくれA

そんな願いを込めて、Aの額に口づけを落とした



ーーーー


次の年の夏、Aとの思い出の場所へ来た


君も見ているだろうか？空へ向かって伸び続けるひまわりたちを


「A、君は私の光だったよ…」


、

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