Dreaming blue【A】 ページ15
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私と兄が出会ったときというのは、最初から兄と妹だったわけでは全くなくて。
それどころかたぶん、少年と少女だったのではないかと最近の私は思っている。
いいや、もっと言うのなら。
私と兄は、兄弟になるのが遅すぎたのだ。
今でも時々夢に見る。
眩しすぎるほどの青空と、そこにはためくスカイブルーのTシャツを。
何かを探していたわけじゃなかったけど、私はぼんやりと校庭を見下ろしていた。
格好つけて言うのなら、正解というものを探していたということにしておいてもいいと思う。
校庭で飛び交うにぎやかな声とボールを手持無沙汰に目で追いながら、私は一人の少年の姿を思い浮かべていた。
「A、帰らないの？」
「うん、あんま帰りたくないから」
「お兄さん、まだ苦手なんだっけ」
「……そんなとこ」
友人の声に低いテンションで答えて私はまた校庭に目を向ける。
背中に「じゃあ先帰るね」という友人の声が聞こえてきて、私は後ろ手にひらひらと手を振った。
何かが見つかることもなく数十分を教室のベランダで過ごした私はわずかに涼しくなった風を感じながら一人で帰宅の途に就いた。
夕暮れの街には同じような学生たちが溢れている。
今頃私が兄と呼ぶべき少年はどこで何をしているだろうか。
確かバスケ部に入ったと聞いたけど、それなら今頃まだ高校にいるのかな。
それならそれでいい。
顔を合わせなくて済むから。
そう思いながら通学路を歩いていた私は自宅の近所にある公園で足を止めた。
気が向いた、というやつだ。
魔が差した、でも似たようなものかも。
とにかく、普段そんなに寄り道することはない公園だったけど、にぎやかな声に誘われるように私は道を逸れた。
夏が近くて、空には眩しいほどの青空が延々と広がっていた。
緑が茂る公園をしばらく歩いた私は、その青空の下にいて負けてしまうことのないスカイブルーのTシャツが楽しそうに声を上げているのを見つけて立ち止まった。
はじけるような笑い声に、きらりと光る汗。
自宅では見たことのない、先日私の兄になった少年の姿だった。
「あれ、Aちゃん！」
少年二人と談笑していた彼がふいに顔を上げた。
私を見つけてくしゃりと表情を崩す。
周りにいた少年たちが「あの子誰だよ知り合い？」「彼女か？」なんて声を掛けて、彼は「違うよ！」とぶんぶん手を振っている。
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iCHiKA(プロフ) - tubinさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！お楽しみいただけたとのこととても光栄です。今後もお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - にゃんちきさん» にゃんちき様、いつもありがとうございます！糖度高めを目指して頑張ったお話でしたが、お役に立てたようで良かったです。こちらこそご賞味ありがとうございました。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - 最近疲れ気味だった私には翔さんの甘さが最高のご褒美になりました。ご馳走様でした( ´ω` )/ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年8月15日 14時
