着信履歴 (青)

約束　青side ページ27

｢おりまっせ〜｣


＊『今何してはります〜？』


｢お家でお酒飲んでますー｣


そう、答えるとホッとした声で“同じやぁ〜“と返ってくる。



歳近いからタメで。って僕が言ったのを嫌々受け入れてくれたのも記憶に新しい


そんなちょっとした嘘も今ではすっかり馴染んでる感じ




今思うと、二人の電話は基本的にお酒が入ってて、

どーでもいい話を永遠としてて、

ゲームしてる人の鼻歌聞きながら絵を描いたり、ギター弾いたり




オカンと姉ちゃんの次に素を出してる女性と言ったら


このアイスに文句を言ってる電話相手なんかもな〜って



＊『なあ、安田さん聞いとった？』



｢聞いとったで〜。 あ、なぁ酔ってない時にも電話しよな〜？｣



脱線というか、言いたいこと言ってるだけなんやけど

“なんやったっけ“ってなってまう俺に



＊『半分聞いてなかったやろ？ でもそれさんせーい！』笑



って、全部に全部ついて来てくれる空間が心地いい。




なんていうんかな〜癒しみたいな？



お酒も進むんよ、これが



腕が痛くなって来てお互いスピーカーになったらなおさら。


両手が開くからお酒にギターに、っていつも通り 笑




｢お酒なくなったから取ってくる〜｣



＊『ん、A現在待機中しと、く？』



キッチンに向かうためリビングを離れた時に聞き取れた返事




完全形やからいつもより甘めの声も、テンション高すぎて迷子になる語尾も、


うざったいのカケラも感じんくて、かわいらしいなーって。




異性に対する好きとはまた違うと思うんやけど、

好き。 多分、この空間が好き。



Aちゃんの作ってくれる空間が。





＊




コップに並々と注がれたお酒を手に戻ると聞こえる歌。





どこかで聞き覚えのある。




聞き慣れた声。





息詰まった時に行く海で風に流れてくる歌。





記憶に残る歌詞を頼りに探しても、見つからなかった


＿＿あの日俺を救ってくれた歌




｢Aちゃん、その歌ってなんて曲なん？｣



彼女は笑った

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